等身大な言葉。
それ自体は大きく変わっていないが、自分の想いを吐き出すように歌っていた前作「メランコリックモラトリアム」と比べて、誰かの存在が見えることが大きな変化だ。
EPのタイトルであり表題曲でもある「君が生きる街」という言葉からもそれは見えてくる。
君の存在と私の存在。
意地悪をしてその反応で愛を確かめたり、君の何かになろうとし続けようとする姿から伝わる不安と依存。
こうやって君を居場所にしている限り、どこに行けないとわかっているのにそれが出来ない。
この言葉だけでも非常にリアルなのだが、サビで振り絞るように歌う歌声と力強いメロディライン。
臨場感や緊迫感が滲み出ていて、聴けば聴くほどに惹きこまれるような強さがある。
上で書いた"誰かの存在"は描かれた君のことではあるのだが、これを聴く人にも重ねて欲しいというメッセージも強く感じる。
だからこそ、これほどまでに響く歌になっているのではないかと思う。
その反面、「痛みがわかれば」のように自身の想いを吐き出す楽曲もやはり強い。
周りを気にしすぎて、どう対応すれば良いかばかり考えているうちに空気まで感じ取れるようになってしまい、自分だけが痛みを受け止めれば良いんだという自己犠牲感が出てしまっている姿に、悲しみなど色んな感情を受け取ることができる。
この曲は誰かに向かって歌っているという感じではないのだが、この感情もまた共感を得る人も多いのではないかと思う。
そういった意味では、このEP作品に「君と生きる街」と一緒に入っているは必然のように感じる。
「はないちもんめ」、「青春脱衣所」の弾き語りもそれぞれ存在感が強く、4曲シングル級のEP作品らしい内容になっている。
次のEP作品も控えているようだが、その前に一度この作品の良さを感じてみて欲しい。
ちなみに、下記リンクからそれぞれの楽曲が視聴できます。
君が生きる街
痛みがわかれば