2018年09月23日

「Appartement」 ほたる日和

今回はほたる日和の「Appartement」を紹介します。
ほたる日和の3rdフルアルバム。

本当に久々のほたる日和の音源。

音源としてはオムニバス「東京のうた。」の「恋愛メトロ」以来。
単独リリースとしては「センチメンタルマインド」以来7年ぶりとなる新作。

メンバーの脱退・加入を経て、新たな体制となったほたる日和の作品はかなり新鮮だった。

先行でMVの公開されていた「とるものもとりあえず」がその最たるもので、ほたる日和らしいセンチメンタルな雰囲気とメロディは確かに健在なのだが、デジタルな音が入っているのがとにかく印象に残る。

今までのポップさや叙情的な音とは違い、デジタルな音が入ることで独特の浮遊感と混沌とした深みが加わっている。
音が変わることで、ほたる日和の印象は大きく変わったと言って良い。

「蒼写真」や「anocomuri」も同じくデジタルな音が入っていることで、かなり印象に残っている。

これだけを見ると完全に路線変更をしたようにも見えるが、今までの良さを感じる楽曲も存在感を放っている。

「あなたが好きって言いたくなった」や「好きな色だけで作られた毎日じゃないから」はキャッチーなメロディと柔らかい音色で紡がれていて、以前のようなポップさを感じることができる。

「あおい」や「染色アラウンド」のような繊細で陰のある楽曲も彼ららしい魅力の詰まった楽曲だ。

かと思えば、グルーヴ感の心地良い「蜜と密」のような怪しげな楽曲があったり、独特のリズムで駆け抜けていく「ジュブナイルフィッシュ」のような新鮮な浮遊感漂う楽曲もあったりするから、全く飽きさせない。

最後の「恋愛メトロ」はオムニバス「東京のうた。」に収録されていたものだが、この変幻自在のアルバムの最後を飾るにはこれしかないというくらいの楽曲。

キャッチーなメロディと柔らかい音色に少しの哀愁を添えて。
これはほたる日和のアルバムなんだと言わんばかりの存在感で、最後に心地良い余韻を残す。

今までの良さを残しつつ、新たな世界の扉を開いたほたる日和の新境地。
色んな意味できっと驚くはずだ。

ちなみに、こちらで「とるものもとりあえず」が視聴できます。

posted by micarosu at 22:30| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月16日

「短篇小説」 櫻井里花

今回は櫻井里花さんの「短篇小説」を紹介します。
櫻井里花さんの1stシングル。

「短篇小説」を初めて聴いたときは衝撃だった。

始まりから漂う、張り詰めて凛とした空気。
その中で描かれているのは、別れを機に自分の人生を少し悲観的に"短篇小説"と表現し、ページを閉じようとする主人公の心情。

これを感情が滲み出るような歌声で響き渡らせていることで、主人公の心情が痛いほど伝わってしまう。

全編を通して暗く深い雰囲気のまま進んでいくが、サビの最後でページを進めようとしていることで、少し希望を感じるような余韻を与えてくれるのも、この楽曲が聴き手を惹きつける魅力の一つだろう。

櫻井里花さんの1stシングル。
一瞬でも聴けばその世界に吸い込まれ、惹きこまれてしまう圧倒的名曲がここにあります。

ちなみに、こちらで視聴できます。

posted by micarosu at 22:25| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月09日

「東京」 Academic BANANA

今回はAcademic BANANAの「東京」を紹介します。
Academic BANANAのデビューEP。

『これが平成世代の創るネオ歌謡曲。』
帯のこのフレーズが全てを物語っているなと思った。

ただの歌謡曲ではなく、ネオ歌謡曲。
ここはMVも公開されている「ミッドタウン」を聴くと見えてくる。

怪しげな雰囲気を漂わせながら真夜中を駆け抜けていくような楽曲なのだが、よく聴くとロックやジャズのテイストも入っていて、一筋縄ではいかない音空間と展開、演奏で魅せてくる。

そういう音楽的な格好良さはもちろんあるのだが、この楽曲の存在感を更に高めているのは、どこか懐かしい歌謡曲を彷彿とさせるメロディの良さだろう。

懐かしさを感じるのに古さではなく現在を映し出す音楽。
これこそがネオ歌謡曲と表現される所以。

それを軸に持ちながら、様々な表現で魅せてくれるのがこの「東京」というEPだ。

東京という華やかな街の繁栄と虚無感を描いた「Tokyo Dada City」はグルーヴ感で魅せ、上京の期待を乗せた"のぞみ"での想いと、都会の暮らしの中でその先にある"望み"を重ねる「のぞみ」では繊細さで聴かせる。

サックスの音は入らないが、ジャジーな雰囲気で酔わせる「Sexy Station」、優しく幸福感を漂わせる「雨上がりのKiss」、小気味良いリズムとメロディ展開で高揚感を聴かせる「5G〜在るが儘に我が儘に〜」、必ずしも上手く行っているわけではないけど、嘘のない人生を送っていることを両親への感謝とともに歌う「東京」が最後に心地良い余韻を残す。

"東京"という都会を舞台に描いた7つの物語。
それをネオ歌謡曲という音楽で表現することで、今までに無い新しい世界を見せる珠玉の一枚。

是非聴いてみてほしい。

ちなみに、こちらで「ミッドタウン」が視聴できます。

posted by micarosu at 22:11| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月02日

「逆光」 坂本真綾

今回は坂本真綾さんの「逆光」を紹介します。
スマートフォン向けゲーム「Fate/Grand Order」第2部主題歌。

イントロの不穏なストリングスの音色。
歌いだしの"憂鬱だった"の言葉。

これだけでこの曲の持つ陰のエネルギーの存在感を感じるだろう。

繰り返す日常に対する不安。
どうしようもできない苛立ちと葛藤。

メロの部分はこの陰の部分がかなり前面に出ているのだが、サビになると一転して明るさを感じさせる。

とはいえ、純粋な明るさとは一味違う。

言うならば、どんな嵐でも走り続ければ超えられるというどこか吹っ切れたような推進力と躍動感を示したような輝き。
もっと言えば、泥臭い美しさという感じだろうか。

これを聴くと、この歌が悲しい歌ではないことに気づくだろう。

どんなに上手くいかないことがあっても、それに向き合って進もうとする姿の美しさ。

自分自身の辛い状況を描いた詩に共感しつつ、聴き手がどこか客観的に詩を見つめることで微かな光を魅せる名曲だ。

ちなみに、こちらで視聴できます。

posted by micarosu at 21:45| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月26日

「Down the Hatch」 Down the Hatch

今回はDown the Hatchの「Down the Hatch」を紹介します。
Down the Hatchの1stフルアルバム。

彼らの音楽を一言で言い表すのは難しいかもしれない。

巧みでフックの効いたアレンジ構成
心地良いダンサブルなリズム
耳馴染みが良く、どこか懐かしいメロディ

先行配信された1stシングル「Stay in Me」はまさにそんな様々な良さを凝縮した珠玉の一曲だった。

そんな彼らが放つ渾身の1stアルバム「Down the Hatch」。
ここには上記の良さはそのままに、楽曲の幅を広げた楽曲達があった。

目の前がパッと開けるような軽快で爽快な「Camelot」に始まり、独特の浮遊感と幻想感をエレクトロな音色で描く「Our innocence」、陰のあるメロディとピアノ音色の心地良い距離感に思わず惹きこまれてしまう「that blu tone」。

ここまでは全て日本語詩だったが、続く「halfway」、「Hermit」、「As I Walk」、「where the light is」と全英語詩の楽曲が並び、日本語詩とはまた違った響きの世界を繰り広げるのも面白い。

特に「where the light is」のダンサブルさは随一で、言葉の響きの良さとグルーヴ感に何度も魅了されてしまう。

ここから日本語詩に戻り、深い広がりを持った「Nowhere on my Mind」、陰を持ちながらもどこか希望の見える「A.B.H.」と、全10曲の中で本当にたくさんの音風景を見せてくれる。

Down the Hatchの名刺代わりの名盤だ。

ちなみに、こちらで「Stay in Me」が視聴できます。

posted by micarosu at 22:15| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする