2020年01月05日

「ジャパニーズポップス」 キンモクセイ

今回はキンモクセイの「ジャパニーズポップス」を紹介します。
キンモクセイの5thアルバム。

活動急始ライブから約1年。
遂に、遂にキンモクセイの5枚目のオリジナルアルバムが発売される。

4thアルバム「13月のバラード」からは実に14年ぶり。

その内容は、キンモクセイ流のザ・ベストテンという感じで、懐かしさ漂う良質の楽曲が詰まっていた。

アルバムの始まりを告げるのは「セレモニー」。

活動再開後初となるリリース曲(配信)で、まさにキンモクセイの再開を告げる曲。
それと同時に、これまでを振り返った曲でもある。

イントロの懐かしい音色からキンモクセイらしさ全開なのだが、この曲は何と言っても歌詞に綴られた想いが大きい。

♪忘れたいことも忘れてしまったから
という始まりから、キンモクセイとしての活動と、休止後の伊藤さんの苦悩が伝わってくる。

インタビュー記事などを見るとわかると思うのだが、伊藤さんは当初キンモクセイの再開は無いと思っていたらしい。
そのくらいに追い込まれた状態での休止だったわけだが、楽曲の制作やソロ活動を続けていく中で、少しずつあった心境の変化。

何より、メンバーがずっと待っていてくれたことが背景ったとはいえ、再開の道が開くのにはこれだけの時が必要だった。

この歌も、1番では全て忘れて新しい日々を送ろうとしているのだが、時の流れの中で生まれた心境の変化によって「♪昨日の続きをこれから始めようと」という想いへと変わっているのが真っ直ぐに伝わる。

活動休止から止まっていたキンモクセイの歴史の続き。
決意と感謝、そして優しい希望を包み込んだこの曲から始まっていく。

アルバムはこの後から一気にいろんな表情を見せる。

というのも、「セレモニー」を除いたアルバム曲10曲の作曲をメンバー5人で2曲ずつ行っているのが大きい。

メンバーそれぞれに個性が強く、70〜80年代の歌謡曲だけでなく、シティポップやアメリカンポップスの要素があったり。
白井さん作曲の「あなた、フツウね」では工藤静香さんや中森明菜さんのような異国情緒感とグルーブを感じさせたかと思えば、「ない!」ではチェッカーズ感を聴かせて驚かせたりする。

「グッバイ・マイ・ライフ」のようなこれぞキンモクセイな楽曲に思わず微笑んでしまうわけだが、この楽曲だけがキンモクセイではなく、どのタイプの楽曲でもこのメンバーが音を奏でて伊藤さんが歌えばキンモクセイなんだ。

それが今も変わらずにここにあったことが何より嬉しい。

キンモクセイ復活。
活動休止の時間が生んだ傑作だ。

キンモクセイの歴史が再び始まる。

ちなみに、こちらでアルバムの全曲トレーラーが視聴できます。

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2019年12月22日

「コペルニクス」 秦基博

今回は秦基博さんの「コペルニクス」を紹介します。
秦基博さんの6thアルバム。

オリジナルアルバムとしては実に4年ぶり。
間にシングルやベストアルバムのリリースはあったものの、かなり久々のアルバムとなった今作。

先行シングル「Raspberry Lover」を聴いたときから感じていたのだが、かなり新しい挑戦をしている。

1曲目のインスト曲「天動説」。
アコギの有機的な音から電子の広がりのある音へと繋がっていく流れは秦さんにしては新鮮だ。

そこから繋がる「LOVE LETTER」は再びアコギの音色が主体のシンプルな楽曲。
ただ、言葉一つ一つにどことなく重さがあって、深く滲み出るような感情が伝わってくる。

この楽曲も後半から電子的な音が入ってくるので、いつもとの違いに知らず知らずに深く惹きこまれていく。

そしてその深さを決定付けるような「Raspberry Lover」が待ち受ける。

アコギの音色と淡々としたビートが繰り返させる異質さから進行していき、感情をぶちまけるようにサビが一気に開ける。
開けるといっても明るい方面ではなく、嫉妬や欲望といった負の感情の吐露。

正直こういったタイプの楽曲が秦さんから出てきたのは意外だった。
ただ、決して嫌なわけではなく、むしろこういう良さもあったのかという発見のほうが大きかった。

特にアルバムの前半部分はこれに近い驚きのある楽曲が並んでいる。

その反面、後半は割と今までの印象に近い楽曲が並ぶ。
切り替わりのポイントは再びのインスト曲「地動説」だ。

ここに続く「9inch Space Ship」には同じように電子音が入るが、華やかさと躍動感があって、未来への希望を感じさせてくれる。

「仰げば青空」はピアノ音色が印象的な卒業ソング。
秦さんらしい楽曲ではあるのだが、ここまでの濃い流れから考えると安心感を与えつつ、陰陽がくっきり出てくることでそれぞれの楽曲の良さに改めて気づかせるという効果もあるのが大きい。

天動説からの深い展開の前半と、地動説からの優しい展開の後半。
らしさという点では後半の印象が強いが、前半の新鮮さと驚き、そして新たな可能性へのワクワク感はも捨てがたい。

いつだって変化をしようとする時は反発もある。
だけど、そこを乗り越えた先に待つものは確固たるものだ。

秦基博さんの挑戦。
そこに一度触れてみて良いと思う。

ちなみに、こちらでアルバムのダイジェスト映像が視聴できます。

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2019年12月15日

「I MISS YOU SO LONG」 GOOD BYE APRIL

今回はGOOD BYE APRILの「I MISS YOU SO LONG」を紹介します。
GOOD BYE APRILの4thミニアルバム。

美しいという言葉が似あうだろうか。

メロディの良さ。
シンプルでありながらも奥が深い音色。
綴られた言葉から滲み出る感情の繊細さ。

良いという言葉だけではもったいないくらい曲が並んでいて、美しいという言葉が浮かんだ。
少し言い換えると、一語一語から広がりが生まれるような、文学的な良さがあるとも言えるかもしれない。

それを語るには、リード曲の「まぼろし」を紹介しないわけにはいかない。

少し懐かしさを感じさせる流れるようなメロディが印象的なこの曲。
前へ前へと連れ出してくれるような展開と構成で非常に心地よいのだが、興味深いのはタイトルでもある"まぼろし"という言葉。

サビで"連れて行くよ"という明確な言葉を使いながらも、その連れていくと約束した場所は"まぼろし"。
明確なのか不明確なのかわからないようにも捉えられるのだが、夢や妄想という言葉より現実感があるように思わせてくれる。

それは、GOOD BYE APRILだからというのはもちろんだが、倉品さんの詩と歌声があるからかもしれない。

もう1曲印象に残った曲が「yell」。

エールの言葉の通り応援歌ではあるのだが、不特定多数に向けた感じではなく、僕と同じようにみんなに上手く馴染めない人たちへの言葉のよう。

"PLEASE STAND UP"
ちょっと立ち上がってみて、今がいつか思い出になるようにしてみよう。

この寄り添うような言葉の温かさと優しさがとても心地よい。

この2曲を取り上げてみると明るいアルバムのようにも見えるが、実はこれ以外の曲はもう少しネガティブで感傷的。
でもどちらの感情も本物で、そういう内向きの感情の中から、こういった外に向いた感情が出てくるのが非常に興味深い。

全体を通して感情と向き合った楽曲が多く、単純な聴き心地もさることながら、じっくり聴くことで感傷や余韻に浸ることができるのもこのミニアルバムの良さ。

美しく深い、珠玉の1枚だ。

ちなみに、こちらで「まぼろし」が視聴できます。


posted by micarosu at 18:18| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月08日

「イキ」 sacra

今回はsacraの「イキ」を紹介します。
sacra結成20周年記念アルバム。

先に言っておかなければならない。
もの凄い名盤であるということを。

sacra結成20周年記念アルバム。
それを聞いた時点でワクワクしていたわけだが、その中身はまさに原点回帰であり、sacraの20年歴史が詰まったベストアルバムのような内容だった。

もう始まりの3曲からエンジン全開だ。

イントロの跳ねるようなピアノ音色からワクワクの始まりを予感させる「Don't let me down」の高揚感に、ちょっと陰のあるメロディと音色で怪しくも弾けるグルーブ感で聴かせる「ヒトツノシンジツ」、少し籠った音が聴かせる憂鬱感に聞き惚れる「憂鬱なランチタイム」。

これだけでも満足と言いたいところだが、こんなものでは終わらない。

武者沙良さや情熱を感じさせる熱い疾走感を持った「トウトイトイ」、「情熱ロマンチック」。

ジャジーで大人びた雰囲気の「蜜月のセプテンバー」の音空間も良いし、真っ直ぐなバラードナンバーの「結局 究極 そばにいる」も良い。

でも、この中で絶対外せない曲を挙げるとしたら「さめないで」だろう。

「回想〜interlude〜」がタイムマシーンのように記憶を辿り、「さめないで」へと流れていくのだが、ここに綴られているのははsacraというバンドの歴史であり、木谷雅という一人の歌うたいの歴史。

17才の路上ライブから始まり、バンド仲間と出会い、切磋琢磨しながらやってきた日々。

上手くいかないことや辛いこともあった。
でも、気づけばステージに立っている自分がいる。

バンドをやっていたから、歌を歌っていたから出会うことが出来たことへの感謝と、これからも続けていきたいという決意。
それが垣間見える名曲。

綴られた言葉の一つ一つがとても響いてくるのだが、その中でも

"今思えば それも含めバンドだったんだな"

の言葉は胸に響いた。

この言葉に詰まった思いは、是非前後の言葉も含めて一度聞いてみてほしい。

アルバム自体も、この「さめないで」のようにsacraの20年の歴史が詰まっていて、集大成と言えるアルバムになっている。

冒頭の繰り返しとなってしまうが、sacra史上最高の1枚と言っていい名盤だ。

ちなみに、下記リンクから視聴できます。
sacra結成20周年記念アルバム「イキ」全曲クロスフェード
さめないで

posted by micarosu at 22:05| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月01日

「white disc +++」 halca

今回はhalcaさんの「white disc +++」を紹介します。
インディーズ盤「white disc」に新録曲を加えた企画ミニアルバム。

7色の輝き。
全7曲それぞれが個性的な色を放っている。

「white disc +++」と名付けられたこの作品は、インディーズ時代の幻の一枚「white disc」に新録曲を追加した内容だ。

「white disc」に収録されていた3曲だけでもかなりインパクトが強い。

kzさん作曲による「Hail to the world!!」のデジタルな浮遊感を持ったダンサブルな楽曲に、「曖昧グラデーション」のような圧倒的な疾走感を持った楽曲、しっとりとしたバラード曲「キミの空」と、魅力的な楽曲ばかりだ。

これに負けない新録曲4曲ももちろん凄い。

アルバムの始まりを告げる「Distortionary」はキレ味鋭いロックナンバーで新たな一面を覗かせてくれたかと思えば、コレサワ作曲による「君だけ」のキャッチーさが前面に出た心地よいポップナンバーがそこに続く。

「朽葉色の音」は緊迫感ある音色からの広がりあのあるサビへの展開で美しく魅了したかと思えば、最後の「GOING CRAZY NIGHT」ではロックバラードナンバーを力強く真っ直ぐに響かせ、アルバムに清清しい余韻を残してくれる。

アニメ主題歌を歌うことが多い彼女だが、今作はそういったタイアップ作品というより、halcaという1アーティストとしての楽曲という面が表に出ている感じがあり、今までとは違う面や"らしさ"が伝わってくる。

彼女の魅力を知るには、最高の1枚と言っていい。

ちなみに、下記リンクからそれぞれの楽曲が視聴できます。
君だけ
朽葉色の音

posted by micarosu at 21:32| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする