2017年11月12日

「モーンガータ」 アンテナ

今回はアンテナの「モーンガータ」を紹介します。
アンテナのメジャー1stミニアルバム。

メジャーでの初めての作品となると非常に気合が入っているものが多いイメージがあるが、このミニアルバムは良い意味で自然体というか、アンテナらしさが詰まった作品に仕上がっている。

とはいえ、1曲目にインスト曲「イダンセ街」があるのは驚いた。
リスナーから募ったという日常の音を基に音を紡いだ楽曲なのだが、これから始まるといよりかは潜っていくような惹き込む力を持っていたからだ。

そう、このミニアルバムはここから夜が始まっていくのだ。

続く「アルコール3%」。
お酒を飲んでちょっとフラフラしつつ、物思いにふけながら歩いてく姿が目に浮かぶ。

その中でも、詩で綴っている"これでいいのさ ちょうどいいのさ"という言葉が印象に残る。
アルコール3%を示した言葉ではあるが、バンドのらしさとも言える"丁度よさ"も醸しだしているようで、メジャーに行っても変わらない彼らの良さをしみじみ感じさせてくれる。

イントロから息を呑むような空気感を漂わせる「呼吸を止めないで」は、夜の世界の中で輝く星のような光を感じる。
メロディの懐かしさと歌声の優しさは、この世界観を愛おしいものに昇華させる。

「無口なブランコ」、「深海おまじない」は軽快な音色を奏でているが、歌詞では非常に寂しい情景を浮かび上がらせる。

特に「深海おまじない」は深海というタイトルの通り混沌として感じを漂わせながらも、そんな暗い世界を抜けて朝を迎えれば良いだけという前向きさに、思わず顔がほころびる。

タイトル曲でもある「モーンガータ」は存在感の強い楽曲だ。
"闇に向けて歌う"という言葉からもその信念を感じることができるが、その想いをより強く響かせるメロディと歌声に、洗練された音色と構成。

ここから始まっていくという想いが端々から滲み出ている。

そして、ここまで夜を歩いてきた彼らが遂に「ぼやけた朝陽」という軽快な疾走感と共に朝を迎えようとする。

アルバムを聴き始めたとき、ここから夜が始まっていくアルバム展開にここからどうなるのだろうと思ったが、最後に朝を迎えることで、聴き終えたときに非常に清清しい気持ちにさせてくれるのが嬉しかった。

夜から朝という流れを楽しめる1枚になってはいるが、個々の楽曲が全てシングルになれるのではないかというくらい際立っていて、それぞれの楽曲としても十分に楽しめる。

メジャー1stミニアルバム。
アンテナがここからまた始まります。

ちなみに、こちらで「モーンガータ」が視聴できます。

posted by micarosu at 22:18| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月05日

「暮らしの中で」 The Restaurant

今回はThe Restaurantの「暮らしの中で」を紹介します。
The Restaurantの1stミニアルバム。

すごく等身大。
でも、巧みな聴かせ方ができるバンドだと思った。

MVもあるリード曲「Summer」は疾走感溢れる爽快なナンバー。
歌詞の前向きさと風を感じるような展開と音色がとても心地良い。

もう一曲MVのある「キンモクセイ」は打って変わって繊細に聴かせるバラードナンバー。
イントロから感じさせる哀愁に、キンモクセイの香りが残した景色に思いを馳せる姿がなんとも切ない。

この2曲で光と陰、アップテンポとバラードと両極端の曲を堪能できるのだが、彼らの魅力はこれだけでは語りきれない。
アルバムに収録されている残り4曲を聴いたらより驚くことになるだろう。

イントロから力強い音で駆け抜けていく「Hello」は、ロックというよりメロディックパンクやメロコアのようなキャッチーさと展開で引っ張っていくのが強く印象に残る。

ゆっくりとしたテンポで聴かせる「夢の途中」は、歌詞を情景豊かに見せつつ、間奏などで癖のある音色を聴かせていることで、一度聴くだけで頭から離れなくなる。

「雨上がり」も「Hello」に近いところはあるが、よりキャッチーさを増したメロディが印象的。
張り上げるように歌う声もあって、非常に熱さを感じる。

「アルトリズム」はイントロのギターとドラムがとにかく格好良い。
どこか陰を抱えながらも走っていこうという姿が詩だけでなく音色からも伝わってくる名曲。

全6曲だが、一曲ごとに全く違う聴かせ方をしてきていることがわかるだろう。
ミニアルバムとしては申し分ないだけでなく、彼らを知るという意味でも十分な一枚だ。

ちなみに、下記リンクからそれぞれの楽曲が視聴できます。
Summer
キンモクセイ

posted by micarosu at 22:19| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月29日

「孤独のハイエナ」 久瀬いくみ

今回は久瀬いくみさんの「孤独のハイエナ」を紹介します。
久瀬いくみさんの1stミニアルバム。

一声を聴いただけで惹き込まれてしまった。
「君と、君が誰だろうと」を聴いた時のことだ。

イントロのギターの音色の混沌さと張り詰めた空気感に、孤独を感じるような凛とした歌声。
その世界観だけでも酔いしれてしまうのだが、サビではそれを払拭するように微かな光を感じるような展開で更に聴く人の心を離さない。

声の感じからはこのようなバラードのほうが感情が滲み出て良いと勝手に思ったのだが、アルバムを聴き進めるとそんな思いは一瞬で吹き飛ぶ。

タイトルからインパクトのある「人生の支配者」や「束縛」のような疾走感溢れるロックナンバーでは力強く歌い上げていて、音の力強さと共に強い意思を熱く響かせてくれるのが印象的。

タイトル曲でもある「孤独なハイエナ」は速いテンポではないのだが、その中で激しく感情をぶつけるように歌い上げている。
この曲もまた強く印象を残す楽曲だ。

彼女の歌声は唯一無二だ。
歌声そのものに孤独感を持っているようでありながら、心地良い余韻も残してくれる。

その歌声に感情を響かせれば、とんでもない存在感となる。
全6曲ではあるが、それを強く感じた。

このミニアルバムでその歌声に酔いしれてみてほしい。

ちなみに、こちらでアルバムのクロスフェードが視聴できます。

posted by micarosu at 22:23| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月22日

「SOUND of SURPRISE」 JIGGER'S SON

今回はJIGGER'S SONの「SOUND of SURPRISE」を紹介します。
JIGGER'S SONの19年ぶりのアルバム。

1998年3月リリースの「バランス」。
JIGGER'S SONのオリジナルアルバムとしてはこれが最後だった。

その後、バンドは活動休止し、坂本サトルさんはソロ活動を開始。
2001年にバンドは一度解散するが、2012年の復活ライブからシングル「バトン」、「メリーゴーランド」を発売。

そして遂に。
いや、まさかの19年ぶりとなるオリジナルアルバムのリリース。

こんな日が来るなんて夢にも思っていなかった。

収録曲はシングル2枚から「バトン」、「大丈夫(2012 ver.)」、「マスター YAMASHITA」、「メリーゴーランド」、「再会20」の5曲と、新曲6曲、坂本サトルさんソロ名義の名曲「天使達の歌」のセルフカバーの全12曲。

アルバムの始まりはシングルになっていた「メリーゴーランド」。
復活後のシングルの中でも特にJIGGER'S SONらしさが出ていたのはこの楽曲。

良い意味で力が抜けているというか、伸び伸びと音を鳴らしているのが伝わってきて、聴いているとJIGGER'S SONが帰ってきたことを実感できる。

「Carcharodon megalodon」が疾走感を格好良く決めてくれたかと思えば、「バンジー」の切なさが滲み出るような楽曲に涙腺を緩ませ、「バトン」という命のバトンを繋いでいること歌った楽曲がギュッと心を掴んで離さない。

この4曲の流れは素晴らしいの一言だ。

ここからはもう少し遊び心のある楽曲が顔を覗かせる。
中でも印象的なのは「最新式を買ってやる」。

作詞作曲は基本的に坂本サトルさんなのだが、この楽曲は渡辺洋一さんとの共作曲。
そしてボーカルが坂本昌人さんという、JIGGER'S SONのアルバムだからこそできた一曲。

素朴なメロディと歌詞が昌人さんの歌声とも合っていて、新鮮でありながらも安心感と心地良さも合わせ持っているのが面白い。

ここから続く新曲「銀河県道999」、「A.I. ジョー」、「通り雨」もJIGGER'S SONらしさに遊び心と円熟味が加わって、今までの楽曲よりも楽しく聴かせてくれる。

そこでふとアルバムのタイトル「SOUND of SURPRISE」を思い出した。

直訳すれば驚きの音。
高音質とも捉えることができるが、ここでは今までを凌駕するほど驚きの良い音楽を奏でているということなのと思った。

解散していた期間も長いのに、今までの作品の中でも今作が一番良いのではなないかと思えるほど素晴らしい作品になっていた。

それは紆余曲折を経たからこそ届いた場所。
全ての出来事がこの素晴らしい一枚を完成させるためにあったのだとすれば、非常に感慨深い。

JIGGER'S SON完全復活を告げるアルバム。
そして最高の一枚だ。

posted by micarosu at 22:39| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月15日

「SIREN」 広沢タダシ

今回は広沢タダシさんの「SIREN」を紹介します。
広沢タダシさんのニューアルバム。

アルバムを聴き始めた瞬間に衝撃が走った。
その理由は一曲目に収録されている「ふるさと」だ。

不穏なオルガンの音色から始まる深く壮大な世界。
あまりにも深くて聴いているだけで息を呑んでしまうほどだが、そこを生きるメロディの懐かしさは不思議と安心感を与えてくれる。

"ふるさとの宇宙"
まさに詩に綴られているこの言葉を体現したような音色とメロディ。

正直言葉だけで表現するのは難しいほど素晴らしい名曲。
この楽曲からアルバムは始まっていく。

アルバムを聴き進めていくとわかるのだが、この「ふるさと」も含め綴られた言葉の数は少ない。
だが、歌詞の一文一文が非常に深く重みのあるものになっていて、どこか一箇所だけを切り取ってみてもその想いの強さを感じることが出来る。

「Siren」のイヤホンの中の世界に閉じこもりすぎていることへ警鐘であったり、Twitterのように言葉をいくつも並べながら、大切なものを忘れてないで欲しいと願う「Twitter in the Fog」、全英語詩でありながら"3.11"という言葉に思わずハッとなる「3.11」などはその代表格。

詩のことを中心書いたが、広沢タダシさんといえば珠玉のメロディメーカー。
「Blue Car」や「Looking Down on the City from the Rooftop」、「Just like your Place」など、落ち着いた世界観で魅せる美しいメロディは今作でも健在なので安心してほしい。

リリース毎に深みを増していく広沢タダシさんだが、今作は桁違いに深さと重みが増した。
それでいてどこか懐かしく安心感のあるメロディを紡ぐことにより、聴く人の心に訴えかけるアルバム。

広沢タダシさんからのSIREN(警鐘)を感じてみて欲しい。

ちなみに、下記リンクから各楽曲が視聴できます。
ふるさと
SIREN

posted by micarosu at 22:15| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする