2018年09月02日

「逆光」 坂本真綾

今回は坂本真綾さんの「逆光」を紹介します。
スマートフォン向けゲーム「Fate/Grand Order」第2部主題歌。

イントロの不穏なストリングスの音色。
歌いだしの"憂鬱だった"の言葉。

これだけでこの曲の持つ陰のエネルギーの存在感を感じるだろう。

繰り返す日常に対する不安。
どうしようもできない苛立ちと葛藤。

メロの部分はこの陰の部分がかなり前面に出ているのだが、サビになると一転して明るさを感じさせる。

とはいえ、純粋な明るさとは一味違う。

言うならば、どんな嵐でも走り続ければ超えられるというどこか吹っ切れたような推進力と躍動感を示したような輝き。
もっと言えば、泥臭い美しさという感じだろうか。

これを聴くと、この歌が悲しい歌ではないことに気づくだろう。

どんなに上手くいかないことがあっても、それに向き合って進もうとする姿の美しさ。

自分自身の辛い状況を描いた詩に共感しつつ、聴き手がどこか客観的に詩を見つめることで微かな光を魅せる名曲だ。

ちなみに、こちらで視聴できます。

posted by micarosu at 21:45| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月26日

「Down the Hatch」 Down the Hatch

今回はDown the Hatchの「Down the Hatch」を紹介します。
Down the Hatchの1stフルアルバム。

彼らの音楽を一言で言い表すのは難しいかもしれない。

巧みでフックの効いたアレンジ構成
心地良いダンサブルなリズム
耳馴染みが良く、どこか懐かしいメロディ

先行配信された1stシングル「Stay in Me」はまさにそんな様々な良さを凝縮した珠玉の一曲だった。

そんな彼らが放つ渾身の1stアルバム「Down the Hatch」。
ここには上記の良さはそのままに、楽曲の幅を広げた楽曲達があった。

目の前がパッと開けるような軽快で爽快な「Camelot」に始まり、独特の浮遊感と幻想感をエレクトロな音色で描く「Our innocence」、陰のあるメロディとピアノ音色の心地良い距離感に思わず惹きこまれてしまう「that blu tone」。

ここまでは全て日本語詩だったが、続く「halfway」、「Hermit」、「As I Walk」、「where the light is」と全英語詩の楽曲が並び、日本語詩とはまた違った響きの世界を繰り広げるのも面白い。

特に「where the light is」のダンサブルさは随一で、言葉の響きの良さとグルーヴ感に何度も魅了されてしまう。

ここから日本語詩に戻り、深い広がりを持った「Nowhere on my Mind」、陰を持ちながらもどこか希望の見える「A.B.H.」と、全10曲の中で本当にたくさんの音風景を見せてくれる。

Down the Hatchの名刺代わりの名盤だ。

ちなみに、こちらで「Stay in Me」が視聴できます。

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2018年08月19日

「社歌」 Swish!

今回はSwish!の「社歌」を紹介します。
Swish!名義としては初の音源となるミニアルバム。

SunSet Swishが遂に帰ってきた。

Swish!に改名で心機一転。
ボーカルの大介さんがサラリーマンを続けながらのリリースということもあり、"サラリーマンエンターテイメント"を詰め込んだミニアルバムという形でリリースしてきた。

この変化は果たして良いものか悪いものか。
少し不安も感じながら再生ボタンを押してみたが、そんな不安の必要は全く無かった。

始まりの「君がまだ知らないから逆にいい」を聴いて、SunSet Swishが帰ってきたなという想いと共に、良い音楽だなというシンプルな想いがやって来た。
歌詞ではサラリーマンならではの視点を描きつつ、そこに片想いのもどかしさを重ねているのがなんとも愛おしい。

続く「フルタイムスマイラー」では小気味良いリズムと言葉の組み合わせで魅せてくれたかと思えば、名バラード「魔法のパスタ」を染みるように聴かせてくれる。

「魔法のパスタ」は既にCMソングとしてもO.A.されている時から圧倒的名曲だと思っていたが、こうしてフルで聴いてみるとまた込み上げてくるものがある。

君と過ごす生活の中であった悲しいことや楽しいこと。
そのいろんな場面で違う表情を見せる君のパスタがあったことを思い出し、いつも支えられていたこと、そしてこれからも支えていきたいという想う。

その歌詞をSwish!らしい美しいメロディと大介さんの伸びやかで真っ直ぐな歌声で聴かせてくれる。
これが彼らの"歌"だなと改めて感じた。

電子音が印象的な「サントワマミー」の心地良いテンポと少しの浮遊感に、「モテない同盟」の爽快感も最高なのだが、「世界一の夏」の少し陰のあるメロディと音色の世界も注目したい。

イントロの雰囲気から漂う悲しい雰囲気。
ここからは、あのとき手を離してしまった君とのことを嘆いている様子が伝わってくるのだが、また君のために歌いたいというサビの想いを聴いていると不思議と温かい気持ちになってくる。

それは、活動休止を経て、Swish!として再開した今の彼ら自身にも繋がる言葉だからなのかもしれない。

Swish!としての初の音源。
名刺代わりの一枚であると同時に、間違いなく名盤といえる一枚だ。

ちなみに、こちらで「魔法のパスタ」が視聴できます。

ミニアルバムの視聴動画は公式サイトへ。

posted by micarosu at 22:29| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月12日

「遠雷」 村上紗由里

今回は村上紗由里さんの「遠雷」を紹介します。
村上紗由里さんの3rdミニアルバム。

反戦。

「遠雷」という楽曲にはこの大きなテーマが隠れている。

とはいえ、言葉として"反戦"やそれを直接連想させる言葉は無い。
並んでいるのは普遍的な言葉ばかりだ。

傷つけあいたくない。
離れ離れになりたくない。

景色や空の色の愛おしさ。
今ここにある幸せの尊さ。

でもこれらが一つのきっかけで壊れてしまうことの怖さが、詩の奥に潜んでいる。

その言葉を響かせる凛とした歌声を聴いていると、その奥に秘められた感情までもが伝わってきて、自然と惹きこまれてしまっている。
それほどまでにこの楽曲が持つ普遍的な大きなテーマは、聴く人の心を揺さぶってくる。

特に最後のサビの盛り上がり方からAメロに戻る展開にはグッときってしまうだろう。

また、続く「風鈴の音色」という楽曲も注目してもらいたい。

こちらも戦争の陰が潜んでいるのだが、見えるのは回想と弔い。
戦争によって失われた景色とそこに生きていた人達の想いを、風に揺れる風鈴の姿から想像させる。

歌い方によってはとても悲しい歌にもなりそうだが、村上さんの真っ直ぐな歌い方で響かせると、情景と感情を静かに見せてくれるのが印象的だ。

今回のミニアルバムはそれぞれの楽曲が非常に個性的かつ存在感のある楽曲で、聴きごたえのある一枚になっている。
ここでは2曲を中心に取り上げたが、一曲ごとに見せる表情に惹きこまれてしまうだろう。

ちなみに、こちらで「遠雷」が視聴できます。

posted by micarosu at 12:24| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月05日

「Crosswalk/リワインド」 鈴木みのり

今回は鈴木みのりさんの「Crosswalk/リワインド」を紹介します。
TVアニメ『あまんちゅ!〜あどばんす〜』OPテーマ、TVアニメ『カードキャプターさくら クリアカード編』EDテーマの両A面シングル。

このCD「あまんちゅ!盤」と「さくら盤」という2種類のパッケージがある。
両A面のそれぞれがアニメのタイアップとなっていて、どちらが先にあるかの差(正確にはカップリング曲も違う)なのだが、「あまんちゅ!盤」をここでは取り上げたい。

というのも、「Crosswalk」がとんでもない名曲だからだ。

始まりの静かなメロが映し出す日常。
でも少しだけアンニュイな気持ちが見え隠れしていることに気づく。

一緒にいるからこその楽しさと、一緒にいるからこそ離れることの寂しさ。

明日も明後日も一緒にいたい。
そんな真っ直ぐな想いと願いをぶつけるサビは圧巻。

感情を高ぶらせて歌いあげる声、メロディの進行、切なさと壮大さをストリングスの音色が相まって、とんでもなくエモーショナルな仕上がりになっている。

これだけでも十分なほど素晴らしいのだが、感情の高まりは最後のサビで最高潮に達し、聴き手の心を最後の最後まで揺さぶってくるのがまた素晴らしい。

ここまで「Crosswalk」について熱く語ってしまっているが、「リワインド」も忘れてはいけない。

こちらも青春感のある楽曲だが、もっとキラキラした印象が強い。

デジタルな音色に可愛らしい歌い方。
コーラスの入り方もどこか夢のような浮遊感があり、聴いていると夢見心地になるよう。

「Crosswalk」と「リワインド」。
それぞれタイプは違うが、彼女の持つ魅力を存分に感じることができる一枚だ。

ちなみに、こちらから「Crosswalk」が視聴できます。

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