2020年02月09日

「unanimous」 TRIPLANE

今回はTRIPLANEの「unanimous」を紹介します。
TRIPLANEの9thアルバム。

いつも通りだ。
実にいつも通りのTRIPLANEのアルバムだ。

長く活動を続けていると、スタイルが変わっていくバンドも沢山ある。
TRIPLANEもその活動の中で色んな形を示してきていたバンドの一つだろう。

でも、変わらずに変わり続けること。
それがTRIPLANEというバンドの一つの答えなのかなと思った。

その葛藤を描いたようにも見える曲が一曲目の「Rookie」だ。

綴られた言葉には"ない"という言葉が目立つ。
決めていない、傷付けない、気にしない、負けていない…。

それでも歌う姿と歌う意味を、サビで絞り出すように聴かせる。
音に重厚感があり、暗めの曲調ではあるのだが、その中を行く歌声がとても真っ直ぐで、心に突き刺さるような力強さと希望を感じさせてくれる。

葛藤からの覚悟。
変わらない強さを得たTRIPLANEの曲は無敵だ。

「アオイハル」や「クラインクイン」といった美しいメロディと包みこむような歌声で虜にしたかと思えば、近年のTRIPLANEで多く見られるデジタル色の強い「No more」「ヒカイゲート」「Allez」のような楽曲でアグレッシブに攻め込む。

得意とする「Snowland」ようなバラード楽曲も良いが、「one day」のように静かな始まりから一気に開けていく疾走感溢れる楽曲も最高だ。

最後を飾る「nouveau」はとても華やかな楽曲だ。
音の響き方がキラキラしていて、音色だけでも明るい気持ちにさせてくれる。

歌詞も非常に前を向いていて、「♪僕らで迎えに行くんだ」の言葉には特に強い決意を感じるだろう。

変わらない良さを持ち続けるというのは非常に難しいものだ。
それを進化を続けながらも聴かせてくれる彼らの存在は大きい。

どこまでもTRIPLANEらしい歌とメロディと音が詰まった最新の名盤だ。

ちなみに、下記リンクから視聴できます。
Rookie
「unanimous」トレーラー

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2020年02月02日

「ときめき坂」 世田谷ピンポンズ

今回は世田谷ピンポンズの「ときめき坂」を紹介します。

近年は少なくなったな。

いや、近年どころではないか。

こういう純なフォーク、フォークロック楽曲。
それが今も息づいているのは、なんか嬉しい。

タイトル曲でもある「ときめき坂」は特に印象深かった。

少し早口で歌う言葉の数々。
蜃気楼や逃げ水を感じさせるような不思議な浮遊感を持った音とメロディ。

ときめき坂を行き来する中で見える情景が、懐かしくもあり、不気味でもあるけど、何故か愛おしい。

この感じをどう表現すれば良いかと思って調べてみると、吉田拓郎さんのような字余りフォークの系譜という言葉を見て、すごく納得した。

それとは別に、フォークロック色が強い「アンヂェラス」ような楽曲も良い。

イントロのギターとコーラスの時点でかなり怪しい楽曲なのだが、その雰囲気には"白と黒"混ざり合う相反する関係が作るグレー感が色濃く出ている。

そんな混沌とした雰囲気を感じさせながらも、サビで歌う"アンヂェラス"の力強さに耳を奪われるというか、時を奪われるような魔力と魅力がある。

この魔力と魅力は、この楽曲に限らず、全体にも言える。
日常を描いているのだけど、すごく文学的で言葉に深みがあり、行間に何が含まれているかを考えさせてくれる。

聴けば聴くほどに楽曲の深みが増す。
懐かしさという言葉だけでは語れないフォークロックがここにある。

ちなみに、こちらで「ときめき坂」が視聴できます。

posted by micarosu at 22:17| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月26日

「Orange glitter」 EARNIE FROGs

今回はEARNIE FROGsの「Orange glitter」を紹介します。
EARNIE FROGsの3rdミニアルバム。

今までの印象を変えるような新鮮さ。
それと同時に、彼らの人間味が感じられるような作品にもなっている。

始まりの「36.7℃」からそれを感じることになるだろう。

タイトルと音の雰囲気からは高揚感のある微熱のことなのかと思っていたのだが、歌詞を聴いていると少し雰囲気が違う。

生きる意味への葛藤。
特に"そもそも望んで生まれた訳じゃない"の言葉は強く響いてくる。

ただ、後ろ向きなわけではない。
かといって前向きというわけでもない。

確かにここにある"今"生きることで、未来へと繋がるかもしれない。
答えは見つからないけど、生きていこうとする姿に、色んなことを考えさせられる。

音色の微熱と言葉の葛藤。
それらは混ざり合ってはいないのだが、だからこそ生まれる混沌に、何故か耳を離すことができない不思議な力を持っている。

タイプは違うが、「ヴァニラ」も不思議な力を持った楽曲だ。

音色と歌声から醸し出される妖艶さ。
ここから感じさせるのは洗練された美しさ。

音の派手さは無いのだが、優しいメロディと流れるような展開で惹きこんでいく。
楽曲としての魅力と魔力を秘めているからこそできる、シンプルな名曲になっている。

それとは反対に複雑な音にキャッチーなメロディを掛け合わせた「バタフライ」のような楽曲があったり、少し懐かしいロックンロールを聴かせる「little high」があったりと、ミニアルバムの中で次々と新しい魅力と輝きを聴かせてくれる。

ここでふとアルバムのタイトルを思い出した。

「Orange glitter」
それぞれの楽曲が放っている人間味のある温かい光の色と、それらが生み出すきらめきが見事に表れた良いタイトルであり、その名の通りの一枚だ。

ちなみに、下記リンクからそれぞれの楽曲が視聴できます。
36.7℃
バタフライ
little high
Ring Tone
ヴァニラ
Rock Radio

posted by micarosu at 21:42| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月19日

「STAND ALONE」 BOYS END SWING GIRL

今回はBOYS END SWING GIRLの「STAND ALONE」を紹介します。
BOYS END SWING GIRLのニューミニアルバム。

全身全霊。
何かこのミニアルバムにはそんな決意を感じた。

言葉の選び方やメロディの紡ぎ方。
どの曲もシングルに成り得るくらいの力の入れ方だ。

とはいえ、葛藤を抱えていることもわかる。

「ラックマン」
リード曲でありミニアルバムの1曲目を飾る楽曲だが、タイトルだけでも葛藤が見えてくる。

ラック、それは欠乏・不足の意。
ラックマンは言ってみれば欠けた人という意味になる。

そのタイトルの楽曲に描かれたものは、葛藤そのものだ。

完璧を演じようとする不器用さや、何かわからない"何か"になろうともがく日々。
でも自分自身、欠けていることに気づいている。

だからこそ同じように欠けたことに悩んでいる君に、僕もそうだよと寄り添う優しさと、欠けた部分を隠さないでと諭す強さも届けてくれる。
歌声の感情も相まって、その想いは何倍にも強く響いてくる。

このミニアルバムにはこれと同じくらいの強い想いが滲み出た楽曲が並んでいる。

もちろん形は同じではない。

「毒を喰らわば」のような歪むギターの音色と妖艶な雰囲気で新鮮に聴かせたり、「スノウドロップ」のように真っ直ぐな想いが溢れるロストラブソングも最高だ。

メジャーデビューアルバム「FOREVER YOUNG」からわずか半年。
これから更なる一歩を踏み出すために彼らが送り出した、濃厚な一枚。

ちなみに、こちらから「ラックマン」が視聴できます。

posted by micarosu at 19:53| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月12日

「memori」 GOMES THE HITMAN

今回はGOMES THE HITMANの「memori」を紹介します。
GOMES THE HITMANの14年ぶりのアルバム。

シンプルにギターポップを突き詰めると、こういう傑作になるのかもしれない。
そう思えるほどの作品だ。

アルバムとしては実に14年ぶり。
期待と不安があったが、上述の通りの内容なので安心してほしい。

アルバムの始まりは「metro vox prelude」。
アカペラとメトロノームの音だけという構成に驚かされるが、これから幕が上がるというワクワク感と高揚感をどこか感じさせる。

そこから「baby driver」へと続く。

印象的なギターのフレーズから跳ねるようなピアノの音色。
まさに高揚感を音で表したような音色で、先ほどの高揚感が一気に弾けていく。

♪Hey baby driver 僕を連れていけよ
 ここじゃない どこか遠くへ

音の高揚感も凄かったが、この歌いだしも堪らない。

どこか目的地があるわけではない。
ドライバーにゆだねて車を走らせると見えてくる知らない景色に弾む想い。

この言葉自体のワクワク感も良いのだが、あえて運転を自分ではなく、他の誰かを指名していることで、自分一人では辿り着けない新たな場所を目指していることを感じさせるのも面白い。

それは山田稔明さんのソロではなく、GOMES THE HITMANとして新しい景色を見せるよという決意なのかもしれない。

その想いの通り、14年間で磨かれた楽曲たちがお目見えする。

でも良い意味で力が入りすぎていないというか、盛りすぎていない感じがある。

アレンジも工夫しようと思えばもっと壮大な仕上がりにしたり、もっと重厚感ある仕上がりにもで出来ると思う。
そこを突き詰めるのではなく、より自然体のGOMES THE HITMANを聴かせようという感じだ。

だから、聴き心地が非常に良いだけでなく、自然体の言葉が示す通り、生活に溶け込むような楽曲になっていて、例えば運転中であったり、日々の家事をしている時に聴いても非常に心地よい。

こういう楽曲を聴かせることが出来るのが今のGOMES THE HITMANだ。

14年の想いというより、結成から今に至るまでのGOMES THE HITMANの集大成。
珠玉の楽曲たちを堪能してみてほしい。

ちなみに、こちらからダイジェスト視聴できます。

posted by micarosu at 22:46| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする