2019年06月09日

「天秤」 オーノキヨフミ

今回はオーノキヨフミさんの「天秤」を紹介します。
オーノキヨフミさんの6枚目のフルアルバム。

もはや円熟味を帯びてきたとも言うべきかもしれない。

始まりの「オニグモ」からもう驚きで、ジャズテイストの音からお洒落な曲をイメージさせたかと思えば、力強いメロディと自然体の歌声で聴かせるという独特の存在感を出していた。

今回は特に楽器のインパクト、特にサックスの音色が印象的で、「おやすみマイライフ」のイントロ、「Ramen Town」のようなインスト曲や「バレエダンサー」のような少しカントリー風の楽曲でも世界観に彩りに一役買っている。

そんな演奏やアレンジ面も聴きどころではあるが、そもそも素晴らしい楽曲ばかりなのだ。

中でも外せないのは「月夜のサバイバルツアー」、「Awesome」、「地図」だろうか。

「月夜のサバイバルツアー」はかなり独特。
一歩一歩踏みしめながら歩いている様子を感じるのだが、それとは逆に浮遊感のようなものも感じさせる。

中毒性あるメロディもあり、一度聴いたら忘れられない楽曲になっている。

「Awesome」はイントロの少し攻めたアコギの音色にデジタルサウンドの融合と、どことなく名曲「新宿西口摩天楼」を彷彿とさせる。
この手の楽曲はオーノさんの個性が強く出ていてやはり惹きこまれてしまう。

「地図」はデビューの頃のような懐かしさに虜になってしまう。
実際その頃からあった楽曲らしく、オーノさんらしい独特のメロディと歌声から響く無力さ感じさせる言葉が響いてくる。

歌声の深みが増していることもあり、この楽曲の切なさがより染みるように入ってくるのが堪らない。

演奏やアレンジだけでなく、今だからこそ書ける言葉と歌声の深み。
そんな円熟味を増した歌が心に浸透する一枚だ。

ちなみに、こちらから一部楽曲が視聴できます。
posted by micarosu at 22:13| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月02日

「in Rainbows」 ChroniCloop

今回はChroniCloopの「in Rainbows」を紹介します。
ChroniCloopのフルアルバム。

今こうしてレビューを書いているのだが、非常に悩んでいる。

あまりにも良すぎて書きたいことが書ききれないことに。

元々彼らを知ったきっかけは「メランコリックボーイ」という楽曲。

曲の始まりから不思議な雰囲気を醸しだしていて、何故か耳から離れなかった。
サビの儚さに惹かれたかと思えば、最後の畳み掛ける展開で最後の最後まで聴き手の耳を離すことはないほど魅力で溢れた楽曲だった。

そこからこうしてアルバムを聴くに至ったわけだが、本当に素晴らしいものだ。

まずは、冒頭の3曲「in Rainbows」、「点滅する色」、「猿の惑星」。

「in Rainbows」の視界が晴れるような心地よい疾走感から、抑揚のある音色とメロディが点滅を描くように聴かせる「点滅する色」、強めの言葉の破壊力を持ちながらもどこか懐かしく優しいメロディで聴かせる「猿の惑星」。
この3曲を聴いて、この後の曲を聴かないなんてありえない。

どの曲も印象強いが、中でも「EarthBound」は外せない。

クセになるイントロの音色から少し速いテンポで繰り出される言葉。
パッと聴いた感じは明るさが前面に出ているのだが、よく聴くと実は結構陰の部分があって、悩みながらも進もうとする世界観にいつの間にか惹きこまれている。

全体にも言える事なのだが、メロディの良さ、洗練されたサウンド、そして少し陰のある歌詞。
これらが高次元で折り重なることでできたこれだけの名曲が生まれている。

ChroniCloop。
彼らの魅力を感じるのに、文句なしの一枚だ。

ちなみに、下記リンクからそれぞれの楽曲が視聴できます。
点滅する色
悲しみにさよなら ( + kiila )
EarthBound
メランコリックボーイ

posted by micarosu at 22:26| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月26日

「to my 17」 the seadays 

今回はthe seadaysの「to my 17」を紹介します。
the seadaysの1stフルアルバム。

帯に書かれている「すべての17才へ」の言葉。
それが物語るように、17才へ向けた想いが散りばめられている。

とはいえ、描かれているのはキラキラしたものではなく、もっと内向きで陰を含んでいる。
色んなことが見えてくるからこそ、関係や比較で自分の存在意義や価値を見失いそうになる。

特に印象が強いのは「nonsense is good」。
タイトルだけでも気になる曲。

奇抜なことをして目立つ存在もあれば、解決ではなく解消だけで済まそうとする雰囲気があったり。
どこか狂っていて息苦しい時間と空間ばかりだと感じている。

でもそれに抗うのではなく、あえて流れに身を任せて過ごして、いつか一歩を踏み出そうという姿に自分を重ねる人も多いのではないだろうか。

一見爽やかそうに聴こえつつも、どこか悩みを感じさせるような歪みを含ませた音色と、綴られた感情を吐き出すように響かせる歌声が重なり合い、聴き手の心を揺さぶるような一曲になっている。

「街」も近いイメージのある楽曲。

こちらはもっと静かに感情を吐露しているのが印象的。
最後のコーラスと"息している"のフレーズは特に印象深く、単純な言葉だけではない生きていることへの想いを感じさせてくれる。

冒頭で「すべての17才へ」のことに触れたが、17才はもちろんのこと、17才だった自分、これから17才になる人にも響く言葉が音楽で綴られた一枚。
聴いてみて欲しい。

ちなみに、下記リンクからそれぞれの楽曲が視聴できます。
nosense is good

いつかの夏
AONATSU

posted by micarosu at 22:09| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月19日

「LiKE」 マカロニえんぴつ

今回はマカロニえんぴつの「LiKE」を紹介します。
マカロニえんぴつの5曲入りミニアルバム。

今回のは特に凄い。

毎作素晴らしい作品を届けてくれる彼らだが、耳の残りやすさに関しては過去最高と言っても良い。

とはいえ、楽曲の幅は広く、一曲ごとに全く違う表情を見せてくれるのは面白い。

「ワンルームデイト」の懐かしい感じからもう最高。
歌謡曲やフォークっぽさもありつつ、彼ららしいロックさも滲み出ている。

「トリコになれ」では軽快に聞かせてくれたかと思えば、「ブルーベリー・ナイツ」では切ない一面を覗かせる。

「働く女」はイントロからかなりお洒落な雰囲気を醸し出していて落ち着いた楽曲かと思いきや、案外聴く人を巻き込んで一緒に楽しくさせてくれるような展開が楽しい。

「STAY with ME」は懐かしいというより少しダサさも出ているのだが、それがまた良い味を出している。
単純な応援みたいなことは出来ないけど、こんな俺達でも付いてきてくれないか?というメッセージには不思議と惹きこまれてしまう。

全体を通して耳馴染みの良さはもちろんのこと、アレンジの巧みさや演奏でも聴かせてくれる部分も多く、ずっと楽しく聴いていられる。
これは良い。

ちなみに、こちらでトレーラーが視聴できます。

posted by micarosu at 22:07| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月12日

「ESCAPE」 小林太郎×Academic BANANA

今回は小林太郎×Academic BANANAの「ESCAPE」を紹介します。
小林太郎さんとAcademic BANANAのスプリットEP。

レーベルメイトとはいえ、なかなか珍しい組み合わせだ。

小林太郎さんといえば、孤高のロックミュージシャン。
Academic BANANAといえば、ネオ歌謡曲。

一見交じり合わないような気もするが、蓋をあけてみればとんでもないエネルギーを持ったコラボになっていた。

収録曲は全9曲。
小林太郎さんの楽曲が4曲、Academic BANANAの楽曲が4曲、コラボ楽曲が1曲という内容だ。

CDは小林太郎さんの楽曲から始まる。

「零」、「針音」。
この2曲を聴いたとき、いつもと違う雰囲気を感じると思う。

この辺りがまさにスプリットEPならではのところで、この2曲の作曲はAcademic BANANAの齋藤知輝さん。
滲み出る歌謡曲感はそこから来ている。

少し懐かしく耳に馴染みやすいメロディを聴かせながらも、小林太郎さんの熱い歌唱で真っ直ぐに響かせるのがなんとも格好良く痺れさせてくれる。
この時点でCDを手にして良かったと思えるほどの内容だ。

Academic BANANAの楽曲だって負けていない。

「抱擁」の王道の進行で聴かせるムーディでメロディアスな歌謡曲感に、怪しげな二人の関係を描いた詩の妖艶さ。
まさに彼らの真骨頂という楽曲。

続く「HAPPY-HAPPY TIME」では少し雰囲気が変わる。
クリスマスの浮かれた気分を明るめの音色で聴かせつつも、どこか陰があるのは後ろめたい気持ちなのかなと想像させる音世界がまた秀逸。

1つのEP内でまるで個性と個性をぶつけ合うかのように繰り出される名曲の数々。
トリにはその集大成の「Escape」が待っている。

この楽曲は正真正銘のスプリット楽曲。

ジャジーな雰囲気と骨太の音色。
小林太郎さんの熱いボーカルを聴かせてくれたかと思えば、齋藤さんの繊細で艶のある歌声で惹き込む。

サビではこの二人のボーカルが重なり合い、熱く繊細な逃亡劇を歌という形で響かせる。
この素晴らしさは何と表現すれば良いのだろうか。

ただ単純な熱さでもなく、単純な繊細でもない。
何か内に秘めた熱情を感じさせるとでも言うべきか。

このコラボだからこそ生まれた最高の一曲。

そして、こんな素晴らしい楽曲ばかりが聴けるEPもまた最高の一枚だ。

ちなみに、こちらで「Escape」が視聴できます。

posted by micarosu at 23:16| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする