2020年01月19日

「STAND ALONE」 BOYS END SWING GIRL

今回はBOYS END SWING GIRLの「STAND ALONE」を紹介します。
BOYS END SWING GIRLのニューミニアルバム。

全身全霊。
何かこのミニアルバムにはそんな決意を感じた。

言葉の選び方やメロディの紡ぎ方。
どの曲もシングルに成り得るくらいの力の入れ方だ。

とはいえ、葛藤を抱えていることもわかる。

「ラックマン」
リード曲でありミニアルバムの1曲目を飾る楽曲だが、タイトルだけでも葛藤が見えてくる。

ラック、それは欠乏・不足の意。
ラックマンは言ってみれば欠けた人という意味になる。

そのタイトルの楽曲に描かれたものは、葛藤そのものだ。

完璧を演じようとする不器用さや、何かわからない"何か"になろうともがく日々。
でも自分自身、欠けていることに気づいている。

だからこそ同じように欠けたことに悩んでいる君に、僕もそうだよと寄り添う優しさと、欠けた部分を隠さないでと諭す強さも届けてくれる。
歌声の感情も相まって、その想いは何倍にも強く響いてくる。

このミニアルバムにはこれと同じくらいの強い想いが滲み出た楽曲が並んでいる。

もちろん形は同じではない。

「毒を喰らわば」のような歪むギターの音色と妖艶な雰囲気で新鮮に聴かせたり、「スノウドロップ」のように真っ直ぐな想いが溢れるロストラブソングも最高だ。

メジャーデビューアルバム「FOREVER YOUNG」からわずか半年。
これから更なる一歩を踏み出すために彼らが送り出した、濃厚な一枚。

ちなみに、こちらから「ラックマン」が視聴できます。

posted by micarosu at 19:53| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月12日

「memori」 GOMES THE HITMAN

今回はGOMES THE HITMANの「memori」を紹介します。
GOMES THE HITMANの14年ぶりのアルバム。

シンプルにギターポップを突き詰めると、こういう傑作になるのかもしれない。
そう思えるほどの作品だ。

アルバムとしては実に14年ぶり。
期待と不安があったが、上述の通りの内容なので安心してほしい。

アルバムの始まりは「metro vox prelude」。
アカペラとメトロノームの音だけという構成に驚かされるが、これから幕が上がるというワクワク感と高揚感をどこか感じさせる。

そこから「baby driver」へと続く。

印象的なギターのフレーズから跳ねるようなピアノの音色。
まさに高揚感を音で表したような音色で、先ほどの高揚感が一気に弾けていく。

♪Hey baby driver 僕を連れていけよ
 ここじゃない どこか遠くへ

音の高揚感も凄かったが、この歌いだしも堪らない。

どこか目的地があるわけではない。
ドライバーにゆだねて車を走らせると見えてくる知らない景色に弾む想い。

この言葉自体のワクワク感も良いのだが、あえて運転を自分ではなく、他の誰かを指名していることで、自分一人では辿り着けない新たな場所を目指していることを感じさせるのも面白い。

それは山田稔明さんのソロではなく、GOMES THE HITMANとして新しい景色を見せるよという決意なのかもしれない。

その想いの通り、14年間で磨かれた楽曲たちがお目見えする。

でも良い意味で力が入りすぎていないというか、盛りすぎていない感じがある。

アレンジも工夫しようと思えばもっと壮大な仕上がりにしたり、もっと重厚感ある仕上がりにもで出来ると思う。
そこを突き詰めるのではなく、より自然体のGOMES THE HITMANを聴かせようという感じだ。

だから、聴き心地が非常に良いだけでなく、自然体の言葉が示す通り、生活に溶け込むような楽曲になっていて、例えば運転中であったり、日々の家事をしている時に聴いても非常に心地よい。

こういう楽曲を聴かせることが出来るのが今のGOMES THE HITMANだ。

14年の想いというより、結成から今に至るまでのGOMES THE HITMANの集大成。
珠玉の楽曲たちを堪能してみてほしい。

ちなみに、こちらからダイジェスト視聴できます。

posted by micarosu at 22:46| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月05日

「ジャパニーズポップス」 キンモクセイ

今回はキンモクセイの「ジャパニーズポップス」を紹介します。
キンモクセイの5thアルバム。

活動急始ライブから約1年。
遂に、遂にキンモクセイの5枚目のオリジナルアルバムが発売される。

4thアルバム「13月のバラード」からは実に14年ぶり。

その内容は、キンモクセイ流のザ・ベストテンという感じで、懐かしさ漂う良質の楽曲が詰まっていた。

アルバムの始まりを告げるのは「セレモニー」。

活動再開後初となるリリース曲(配信)で、まさにキンモクセイの再開を告げる曲。
それと同時に、これまでを振り返った曲でもある。

イントロの懐かしい音色からキンモクセイらしさ全開なのだが、この曲は何と言っても歌詞に綴られた想いが大きい。

♪忘れたいことも忘れてしまったから
という始まりから、キンモクセイとしての活動と、休止後の伊藤さんの苦悩が伝わってくる。

インタビュー記事などを見るとわかると思うのだが、伊藤さんは当初キンモクセイの再開は無いと思っていたらしい。
そのくらいに追い込まれた状態での休止だったわけだが、楽曲の制作やソロ活動を続けていく中で、少しずつあった心境の変化。

何より、メンバーがずっと待っていてくれたことが背景ったとはいえ、再開の道が開くのにはこれだけの時が必要だった。

この歌も、1番では全て忘れて新しい日々を送ろうとしているのだが、時の流れの中で生まれた心境の変化によって「♪昨日の続きをこれから始めようと」という想いへと変わっているのが真っ直ぐに伝わる。

活動休止から止まっていたキンモクセイの歴史の続き。
決意と感謝、そして優しい希望を包み込んだこの曲から始まっていく。

アルバムはこの後から一気にいろんな表情を見せる。

というのも、「セレモニー」を除いたアルバム曲10曲の作曲をメンバー5人で2曲ずつ行っているのが大きい。

メンバーそれぞれに個性が強く、70〜80年代の歌謡曲だけでなく、シティポップやアメリカンポップスの要素があったり。
白井さん作曲の「あなた、フツウね」では工藤静香さんや中森明菜さんのような異国情緒感とグルーブを感じさせたかと思えば、「ない!」ではチェッカーズ感を聴かせて驚かせたりする。

「グッバイ・マイ・ライフ」のようなこれぞキンモクセイな楽曲に思わず微笑んでしまうわけだが、この楽曲だけがキンモクセイではなく、どのタイプの楽曲でもこのメンバーが音を奏でて伊藤さんが歌えばキンモクセイなんだ。

それが今も変わらずにここにあったことが何より嬉しい。

キンモクセイ復活。
活動休止の時間が生んだ傑作だ。

キンモクセイの歴史が再び始まる。

ちなみに、こちらでアルバムの全曲トレーラーが視聴できます。

posted by micarosu at 23:28| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月22日

「コペルニクス」 秦基博

今回は秦基博さんの「コペルニクス」を紹介します。
秦基博さんの6thアルバム。

オリジナルアルバムとしては実に4年ぶり。
間にシングルやベストアルバムのリリースはあったものの、かなり久々のアルバムとなった今作。

先行シングル「Raspberry Lover」を聴いたときから感じていたのだが、かなり新しい挑戦をしている。

1曲目のインスト曲「天動説」。
アコギの有機的な音から電子の広がりのある音へと繋がっていく流れは秦さんにしては新鮮だ。

そこから繋がる「LOVE LETTER」は再びアコギの音色が主体のシンプルな楽曲。
ただ、言葉一つ一つにどことなく重さがあって、深く滲み出るような感情が伝わってくる。

この楽曲も後半から電子的な音が入ってくるので、いつもとの違いに知らず知らずに深く惹きこまれていく。

そしてその深さを決定付けるような「Raspberry Lover」が待ち受ける。

アコギの音色と淡々としたビートが繰り返させる異質さから進行していき、感情をぶちまけるようにサビが一気に開ける。
開けるといっても明るい方面ではなく、嫉妬や欲望といった負の感情の吐露。

正直こういったタイプの楽曲が秦さんから出てきたのは意外だった。
ただ、決して嫌なわけではなく、むしろこういう良さもあったのかという発見のほうが大きかった。

特にアルバムの前半部分はこれに近い驚きのある楽曲が並んでいる。

その反面、後半は割と今までの印象に近い楽曲が並ぶ。
切り替わりのポイントは再びのインスト曲「地動説」だ。

ここに続く「9inch Space Ship」には同じように電子音が入るが、華やかさと躍動感があって、未来への希望を感じさせてくれる。

「仰げば青空」はピアノ音色が印象的な卒業ソング。
秦さんらしい楽曲ではあるのだが、ここまでの濃い流れから考えると安心感を与えつつ、陰陽がくっきり出てくることでそれぞれの楽曲の良さに改めて気づかせるという効果もあるのが大きい。

天動説からの深い展開の前半と、地動説からの優しい展開の後半。
らしさという点では後半の印象が強いが、前半の新鮮さと驚き、そして新たな可能性へのワクワク感はも捨てがたい。

いつだって変化をしようとする時は反発もある。
だけど、そこを乗り越えた先に待つものは確固たるものだ。

秦基博さんの挑戦。
そこに一度触れてみて良いと思う。

ちなみに、こちらでアルバムのダイジェスト映像が視聴できます。

posted by micarosu at 22:57| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月15日

「I MISS YOU SO LONG」 GOOD BYE APRIL

今回はGOOD BYE APRILの「I MISS YOU SO LONG」を紹介します。
GOOD BYE APRILの4thミニアルバム。

美しいという言葉が似あうだろうか。

メロディの良さ。
シンプルでありながらも奥が深い音色。
綴られた言葉から滲み出る感情の繊細さ。

良いという言葉だけではもったいないくらい曲が並んでいて、美しいという言葉が浮かんだ。
少し言い換えると、一語一語から広がりが生まれるような、文学的な良さがあるとも言えるかもしれない。

それを語るには、リード曲の「まぼろし」を紹介しないわけにはいかない。

少し懐かしさを感じさせる流れるようなメロディが印象的なこの曲。
前へ前へと連れ出してくれるような展開と構成で非常に心地よいのだが、興味深いのはタイトルでもある"まぼろし"という言葉。

サビで"連れて行くよ"という明確な言葉を使いながらも、その連れていくと約束した場所は"まぼろし"。
明確なのか不明確なのかわからないようにも捉えられるのだが、夢や妄想という言葉より現実感があるように思わせてくれる。

それは、GOOD BYE APRILだからというのはもちろんだが、倉品さんの詩と歌声があるからかもしれない。

もう1曲印象に残った曲が「yell」。

エールの言葉の通り応援歌ではあるのだが、不特定多数に向けた感じではなく、僕と同じようにみんなに上手く馴染めない人たちへの言葉のよう。

"PLEASE STAND UP"
ちょっと立ち上がってみて、今がいつか思い出になるようにしてみよう。

この寄り添うような言葉の温かさと優しさがとても心地よい。

この2曲を取り上げてみると明るいアルバムのようにも見えるが、実はこれ以外の曲はもう少しネガティブで感傷的。
でもどちらの感情も本物で、そういう内向きの感情の中から、こういった外に向いた感情が出てくるのが非常に興味深い。

全体を通して感情と向き合った楽曲が多く、単純な聴き心地もさることながら、じっくり聴くことで感傷や余韻に浸ることができるのもこのミニアルバムの良さ。

美しく深い、珠玉の1枚だ。

ちなみに、こちらで「まぼろし」が視聴できます。


posted by micarosu at 18:18| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする