2020年04月05日

「彗星吟遊」 ももすももす

今回はももすももすさんの「彗星吟遊」を紹介します。

なんか凄いものを聴いてしまった感じだ。

抽象的なようで核を捉えた言葉の紡ぎ方の世界観。
ギターロックを中心の置きつつ、ポップミュージックとしての一面も光る。

シングル「木馬」、「アネクドット」と常に新しい世界観で魅せてくれた彼女だが、このアルバムで益々世界観を言い表すのが難しくなった。
そのくらい、ロックシーンからもポップシーンからも新しい世界の始まりを聴かせてくれたような満足感とワクワク感が詰まっていた。

そんなアルバムは始まりから強烈で、「火星よ、こんにちは」は力強いギターロックを鳴らしながらも、どこか漂う浮遊感から宇宙のような壮大さを感じさせる。

これで耳を掴まれたところに、「アネクドット」、「木馬」とシングル曲を畳みかけてくるのだから、一気にももすももすさんの世界観の虜になってしまう。

骨太の「Saboten」を挟み、アルバムの中でも疾走感とグルーブ感が心地よい「桜の刺繍」へと流れ、バラード曲の「シャボン」で一旦落ち着きを見せる。

「隕石」から後半が始まるのだが、隕石の名の通りいきなり突き落とされる。

"大きな隕石が落ちてきてさようなら"の言葉を聴いたときは一体どうなることやらと思ったが、これは究極というか極限のラブソング。
ここで死んだら最後の恋人が自分であるというかなり病んでいる詩なのだが、その吹っ切れた想いに清々しさを感じる。

「Confession」、「シクラメン」、「プルシアンブルー」とシングルのカップリング曲で異なる魅力を聴かせ、配信限定でリリースしていた「うさぎの耳」へ。

「うさぎの耳」は「木馬」より先の配信なので、この曲は一つの原点。

物語性や文学性が高い他の楽曲と比べると、自分の中の気持ちを全面に押し出している感じが強い。
あなたが聴いている曲を聴きたいという表現に"うさぎの耳が欲しい"という言葉を選んでいるあたりから、表現力の広さの片鱗が見える。

最後の「ハネムーン」はカントリー調で、吟遊詩人を彷彿とさせるような楽しい音楽。
この曲はアウトロの構成が印象的で、一度終わったかと思った後にまた始まる流れは、アルバムをリピートして聴く伏線とも言える。

この「ハネムーン」と「火星よ、こんにちは」はセットに近い感じだ。

アルバムタイトルの「彗星」、宇宙の要素を含んだ「火星よ、こんにちは」で始まり、「吟遊」詩人の要素を含んだ「ハネムーン」で終わる。
そのスケールの大きな旅の中には、上述した様々な楽曲が並べられているのだから、とにかく楽しい。

それでいて新しさを感じる要素も多いのだから凄い。

これは新しい世界だ。
繰り返しになってしまうが、ロックシーンからもポップシーンからも新しい世界の始まりを聴かせてくれたような満足感とワクワク感がここには詰まっている。

ちなみに、下記リンクからそれぞれの楽曲が視聴できます。
桜の刺繍
隕石

posted by micarosu at 22:28| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月29日

「わかってたまるか」 ダニーバグ

今回はダニーバグの「わかってたまるか」を紹介します。

ギターロックで響かせる熱情。

そこにあるのは、反骨心。
「わかってたまるか」というタイトルからもそれが伝わってくる。

だが、そんな事はいいからまずは聴いてくれと言いたい。
「雨の日の少年」をまずは聴いてくれと。

イントロの歪んだギターの音色から一気に耳をつかまれてしまうが、基本は真っ直ぐに一音一音を力強く奏でているのが印象的。

メロディラインも非常に真っ直ぐで、言葉の一つ一つに込めた想いが滲み出るように伝わる。

雨という言葉に悲しさ涙、やるせなさを映しつつ、雨上がりに"ニヤける少年"でありたいとする表現は強い。
今の状況を受け止めつつも、決して諦めず、最後には笑ってやるという強い想いが溢れている。

この言葉の強さを、吐き出すように歌う声が想いを何倍にも深め、高めていく。
こういう反骨心を歌うギターロックはやはり格好良い。

最近の音楽に足りなかった熱がこの歌にはあった。

この曲を知って、このEP作品を聴くに至ったわけだが、他の曲も負けない熱で溢れている。

「明日がやってくる」の"アンテナ立てて悪いニュースだけ受け取っている"のように負を抱え込んでしまいがちなところとか、「my list」で"time is over"と既に終わってしまったような現状を俯瞰しつつも、そこに抗ってやろうする姿が最終的には見えてくる。

"負け犬バンド"
彼らのプロフィールにはその言葉がある。
だが、その言葉の前には"無敵になった"が付いている。

負けた者達が立ち上がった時、それは無敵の強さを纏った存在になる。
彼らの歌はまさにそれだ。

繰り返しになってしまうが、まずは聴いてみ欲しい。
彼らの持つ熱と強さがわかるはずだ。

ちなみに、下記リンクからそれぞれの楽曲が視聴できます。
退屈ハイウェイ
明日がやってくる
雨の日の少年
ぼくらのゲーム
my list
posted by micarosu at 22:49| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月22日

「a Day」 駒形友梨

今回は駒形友梨さんの「a Day」を紹介します。

3rdミニアルバムは日中をテーマにしたコンセプトアルバム。

インスト曲「a Day〜and the light comes〜」の凛とした浮遊感からの始まりで、夢から醒めて朝が始まる空気を感じさせ、「クロワッサン」から一日が始まっていく。

この「クロワッサン」の雰囲気からは軽快な目覚めを感じるのだが、本人作詞の言葉を見てみるとまどろみの雰囲気があったり、朝起きてクロワッサンを優雅に食べているのだけど、ちょっとのんびりしすぎて駅までダッシュをしていたり、ほんわかするような朝が描かれているのが楽しい。

グルーブ感の心地よい「On My Way」では爽やかさと格好良さが全開。
今日一日頑張ろうという気持ちにさせれてくれるような一曲で、このアルバムのリード曲になっているのも頷ける。

ここに続く「シングデイズ」も軽快だ。
まさに歌ってしまいたくなるような心躍る今日への期待と希望が気持ちを前へ前へと押し出す。

今日という一日も少しずつ時間が流れてきて、「call my today」でこの時間の愛おしさを感じ、「今日は」では今日を振り返って明日が来ることに少し不安になったり、一日の中で見せる色んな感情にふと心が重なる。

それでも来る明日に向かうために「ばいばい」で今日への区切りをつけていることで、アルバムの最後に印象的な余韻を残す。
この曲はANTENA(アンテナ)の渡辺諒さんが作詞作曲をしていることもあってか、他の曲と少し雰囲気が違い、より文学的、哲学的に今日という日を振り返っているのが興味深い。

今日が始まり、終わる。
そんな今日のための音楽は、毎日でも聴ける日常を彩る音楽にもなる。

今日という日の始まりにも終わりにも合う音楽が詰まった一枚です。

ちなみに、こちらで「On My Way」が視聴できます。

posted by micarosu at 21:59| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月15日

「YUZUTOWN」 ゆず

今回はゆずの「YUZUTOWN」を紹介します。

約2年ぶり、通算15枚目のオリジナルアルバム。

CDのリリースとしては実は久しぶりで、2018年の「マスカット」以来。
2019年はCDのリリースが無く、配信でのリリースのみだったので、人によってはすごく久々に感じると思う。

その配信のほうは活発にリリースしていたこともあり、既発曲はかなり多い。
「SEIMEI」、「Green Green」、「マボロシ」、「マスカット」、「公園通り」に、嵐に提供した「夏疾風」のカバーも含めると、アルバムの半分以上が既発曲だ。

ただ言い換えれば、この期間のベスト的な内容とも言えるので、かなり充実した内容になっている。

特に楽曲の幅とゆずらしさ、多彩なアレンジが適度に融合しているのが今作の注目ポイント。

「SEIMEI」は配信の弾き語りバージョンも良かったが、アルバムではかなり大きくアレンジをしていて、大地の息吹を感じるような壮大さが加わったことで、生命の強さをより感じるようになったのが非常に良かったし、「夏疾風」はイントロを聴いただけでは何の曲かわからないほどの力強いバンドアレンジを加えていて、驚きとともにその格好良さに惚れこんでしまったほどだ。

新曲では「チャイナタウン」ような中国感や「イマサラ」のようなインド感が出た楽曲も非常に面白いのだが、「花咲ク街」の日本らしい和の音色と繊細な旋律を聴かせる楽曲は新鮮に聴かせてくれた。

岩沢さん作詞作曲の「まだまだ」も外せない一曲。
ピアノとアコギの旋律が儚く交錯する音色に、岩沢さんらしい叙情的な言い回しとメロディ。

"まだまだ 行こうぜ"
メロでは暗い現実を描きながら、サビではそこに立ち向かうこんな真っ直ぐな言葉を響かせる。

言葉にしてしまうと単純になってしまうのだが、ゆずの2人の歌声で響かせると深みがグッと増すのが魅力だ。

ゆずの最近のアルバムは明るすぎる傾向が強かったのだが、上述の「まだまだ」や「マボロシ」などの陰を持った楽曲があることで、全体的なコントラストが非常に美しいアルバムに仕上がっている。

アルバムにゆずの文字がついたアルバムは名盤ばかりだ。
今作もそこに並べる名盤だと思う。

ちなみに、下記リンクから視聴できます。
花咲ク街

posted by micarosu at 22:27| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月08日

「orbit」 Brian the Sun

今回はBrian the Sunの「orbit」を紹介します。

進化なのか、深化なのか。

彼らの楽曲はリリース毎に深さが増し、輪郭が濃くなっているように感じる。
特に江口亮さんをプロデューサーに迎えてからは特に。

ロックを基調とするバンドサウンドは「SOS」のように重さを感じさせつつ優しく聴かせるものもあれば、「スローダンサー」のようにもっと深く重くも真っ直ぐ聴かせる楽曲も聴き応えがある。

それとは別の軸にポップさも彼らの真骨頂。

「パラダイムシフト」のような跳ねるようなリズムや、イントロから躍動感漂う「サーチライト」の軽快さなどでは真っ直ぐにポップさを感じさせつつ、「星に願いを」は心地よいメロディラインを聴かせているのに、イントロや間奏の構成は少し歪んでいてクセになる音を掻き鳴らしているのも不思議と耳に残ってしまうのも面白い。

ミニアルバムということで収録曲は5曲と少な目なのだが、その内容は上記のように非常に豊かで濃い。
ただ興味深いのは、これだけの内容でありながらバラバラという印象ではなく、どこれも手が届く範囲の楽曲というか、聴き手から見える範囲での遊び心を見せているような印象が強い。

言い換えれば、時に離れたり近づいたりしながらも近くにある存在のような音楽。
それはまさに、タイトルのorbit=軌道に通じるものであり、これこそがこのミニアルバムの核なのかもしれない。

彼らの描く音楽の軌道が近くにあるかは、聴いて確かめてみてほしい。

ちなみに、こちらで「パラダイムシフト」が視聴できます。

posted by micarosu at 21:55| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする