2020年09月06日

「世界の街角」 平川地一丁目

今回は平川地一丁目の「世界の街角」を紹介します。

まさかの再結成からのアルバム「時のグラデーション」のリリース。

その余韻もつかの間、そこから半年も経たないうちに新作アルバムが出てくるなんて誰が想像しただろうか。

しかもこれがかなり面白い作品になっている。

前作「時のグラデーション」が平川地一丁目の再起動だとしたら、今作は実験。
今までの平川地一丁目を踏襲しつつ、自分たちが納得の行く形を追求して昇華させた音楽といった印象。

具体的に言うと、詩の世界と音の世界の融合だろうか。

記憶を辿る様子を描いている「記憶の中にある町」では、はっきり聞こえるのに少しずつ消える音が入っているのが印象強く、記憶の中に確かにあるものなのにどこか遠くて掴めない理想という雰囲気を音だけでも感じることができ、これが詩の世界と見事に重なる。

「世界の街角」も雰囲気は近く、一人だけの世界で理想通りになっても意味が無いという感情が同じく悲しげな音から伝わる。

もちろんこういった悲しい曲ばかりではなく、「月夜の遠吠」のような生きることへの力強い決意を歌った曲では、大地を一歩一歩踏みつけていくような力強さを醸し出していたり、「夏の風」では暑いのだけど少し懐かしい風を感じながら、物思いにふける様子が上手く表現されている。

また、今作では直次郎さんの作曲した曲が3曲入っているのが大きなアクセントになっている

直次郎さんの曲というと「校庭に見つけた春」や「夢見るジャンプ」と言ったシングル曲を思い浮かべてもらえるとわかりやすいのだが、メロディに明瞭さと繊細が滲み出ていて、そのメロディだけで哀愁を誘うのが特徴。

「幾星霜」、「此処に在るもの」、「若草」とどれを取ってもその楽曲の良さに惹きこまれる。

中でも2曲目に収められている「幾星霜」の近くに感じたいのに遠く届かない想いを紡いだメロディの存在感は、アルバムの中でも光っている。

最初に実験という言葉を使ったが、物凄く新しいことに挑戦をしているのではなく、その個性を高めるためにどう表現をするかという実験であることがわかると思う。

平川地一丁目が出来ること。
平川地一丁目にしか出来ないこと。

それを追い求めて辿り着いた珠玉の一作。

ちなみに、こちらからダイジェスト視聴ができます。

posted by micarosu at 23:15| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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