"奥華子も認めた奇跡の歌声"
透明感と儚さを持った歌声は、奥華子さんを確かに彷彿とさせる。
ただ奥さんよりも少し不器用で、幼さを含んだ歌声が彼女の魅力の一つだ。
そして、その歌声を最大限に広げる歌の世界観。
特にリード曲「水影とトマト」を無しには語れないだろう。
一言で言えば、吸い込まれるような楽曲。
僕目線で描かれるひと夏の物語。
夏の景色
君と僕の姿
それらが確かに描かれてるのだが、どこか寂しく、それが遠い記憶であることに気づく。
回顧。
という単純なものではなく、忘れられない記憶であり、ずっと引き摺った過去という感じだろうか。
まるでそこから時が止まって成長出来なくなってしまった僕の姿。
それが痛いほど見えてくる。
詩とメロディはもちろんだが、前述した不器用さと幼さを含んだ歌声がこの曲にはとても重なり、その世界観の愛おしさを何倍にも高めてくれる。
名刺代わりの名曲だ。
このミニアルバムには本人が作詞作曲した曲が4曲収録されているのだが、不器用さや幼さが見える点がどれも魅力だ。
それとは別に2曲、「アサギマダラ」、「夏茜」とaokadoが作曲した曲が収録されているのだが、こちらは同じく僕目線の物語でありながら、少しだけ画面を引いたような映像が目に浮かぶ。
言うならば、短編映画を見ているような感じだ。
この2曲は、僕と君の物語に違った彩りを加えてくれるという点で非常に大きな役割を果たしている。
"奇跡の歌声"
それは間違いない。
ただ、それだけでない。
物語の描き方、メロディの紡ぎ方でも魅了してくる一枚だ。
ちなみに、こちらで「水影とトマト」が視聴できます。