2017年03月03日

キセキ その16 〜sunbrain〜

アーティスト特集企画「キセキ〜僕を作った音楽達〜」。
(企画内容とタイトルの意味はこちら

第16弾となる今回は、"sunbrain"を紹介したいと思います。


sunbrainは南ヤスヒロさんと丸谷マナブさんによる宅録ユニット。

南ヤスヒロさんは結成前から平井堅さんの「style」を作曲するなどコンポーザーとして活躍していたこともあり、その人が組むユニットはどんな感じになるのだろうと非常に楽しみにしてた。

そのデビュー曲「emotion」は色んな意味で衝撃だった。

二人の素朴な歌声が響きあうミディアムテンポの楽曲。
『冒険王ビィト』オープニングテーマとなっていたのだが、正直内容とは不釣合いな感じがしていて、当初はあまり良い印象を持っていなかった。

ところがだ。
オープニングで毎週この楽曲を聴いていると、最初に感じたそんな思いはすっかりどこかへと行ってしまった。

坦々と進みながらも心地良い抑揚を聴かせるメロディ。
シンプルな音色ながら巧みに計算された音の重なりの深み。
そして二人の素朴な歌声がハーモニーを奏でたときにひしひしと感じる情熱。

まさに「emotion」。
タイトルの意味とそこに込められた想いを感じずにはいれなくなっていたのだ。

Sunbrainが面白い。

もう次回作が楽しみで仕方なかったわけだが、ここで驚きの事実が発覚する。
なんと、『冒険王ビィト』の3クール目からのOPを引き続き担当するということが。

その楽曲が「wish men」。

疾走感漂う爽快なナンバー。
一回聴いた瞬間から耳に馴染むメロディに二人のハーモニーが生み出す爽快感と高揚感がとにかくたまらなかった。

オープニングとしても非常に合っていた印象で、当時この曲ばかり聴いていた気がします。

ちなみに、アニメOPではサビ始まりですが、原曲はAメロ始まり。
イントロも原曲のほうがこれから新しい扉が開くようなワクワク感があって、オススメである。

続いてリリースされたのが「グーテンモルゲン」。

ここまで2曲がアニメタイアップありでしたが、今回は初めてノンタイアップ。
そして、シングルとしては初めて丸谷マナブさんの単独作曲の楽曲でもある。

この曲がすごい。

全体的に陰を感じさせる音色が耳に残る。
それは歌詞で描かれている不安を表しているようで、北海道出身の二人が上京する際に感じた気持ちを歌にしたのだそう。

実体験を歌にしていることもあり、詩そのものの深みとそれを歌声として響かせたときの力は圧倒的だった。
初めて聴いたときになんだかわからない切なさを感じたのは、それによるものだったのだろう。

でもここでは不安だけでなく、その先への希望も描いている。
今はどこを飛んでいるかわからないけど、いつか二人で辿り着こうという想いを聴かされたら、涙腺が緩んで仕方がない。

素朴な歌声もこの楽曲の雰囲気にはぴったりで、sunbrainを代表する一曲と言っていい名曲だ。

ここまでコンスタントにリリースを続けてきていたが、ここからリリース間隔が空いてしまう。

約1年4ヶ月の沈黙を破ってリリースされたのが「僕&Harmony」。

ピアノの音色と歌声という静かな始まりから、ベースやドラムといった音が入ってきて華やかさを増したかと思えば、またピアノの音色だけになって今度はハンドクラップが入ったりと目まぐるしく楽器のハーモニーが入れ替わる遊び心溢れる一曲。
僕(歌声)とHarmonyでここまで楽しませてくれるというのは斬新だった。

ラブホテル「ハーモニー」の入口を舞台に、次々と移り変わる人間模様を描いたPVの展開も面白いので、機会があればこちらも楽しんでもらいたい。

そしてここからリリースが続く。

「僕&Harmony」から2ヶ月というハイペースでリリースされた「Go To Fly」。
三度目のアニメタイアップとなる『デルトラクエスト』エンディングテーマとして起用されたのだが、これがとんでもない名曲。

イントロから漂う幻想的で神秘的な雰囲気。
これを聴いたときから間違いなく名曲だと感じたのだが、この曲は歌詞も素晴らしい。

綴られているのは失った大切な人への想い。
夜空に輝く月の光を浴びて、その幻想的な雰囲気から大切な人への想いを募らせてしまう姿がとても印象に残る。

でもこの曲は切なさだけで構成はされていない。
そこから"僕"が進みだそうとしているところが非常に深い。

この詩の中では月灯りの下でしかその様子は見えないのだが、この先に日々を乗り越えて進んでいくのだろうという未来まで想像させるのだから。

また、日々を繰り返すということに関しては、歌の始まりと終わりが同じフレーズというところにも繋がる。

詩の内容から音が作り出す雰囲気と楽曲構成、そして切ないメロディと素朴な歌声。
ここから生み出されるものが名曲とならないはずがない。

この曲を聴いたとき、sunbrainって本当にすごいユニットだと改めて感じた。

そしてそこから1ヶ月足らずで初のアルバム「rainbow album」をリリース。

こちらは発売当初にレビューを書いているのでそちらをご覧ください…と言おうかと思ったが、せっかくなので改めて聴いた想いを綴ってみようかと思う。

前述のシングルは全て収録されているだけでなく、シングルのカップリングだった「クライテリア」、「ハレルヤ」までも収録されていて、sunbrainの全てが詰まっている一枚。
(強いて言えば「エヴァネス」が入っていないのが惜しい)

アルバム前半は「emotion」、「僕&Harmony」、「クライテリア」、「Go To Fly」、「wish men」、「ハレルヤ」とまさにオールスター的ラインナップ。

もちろんここまでも素晴らしいのだが、このアルバムの真骨頂はここから。

クラシックギターの音色が美しく、ハウスのようなお洒落な雰囲気が楽しい「clapper&clapper」、エバーグリーンなメロディと音色とサビの伸びやかな歌声が印象的な名曲「Houston」。

神聖な空間にシンプルに言葉が響く「祈り」、クセがあるのにポップでキャッチーで、つい口ずさんでしまうような耳馴染みの良さを持った「僕のライオン」、印象的なギターのフレーズと滲み出るクールさが格好良い「不埒な男」。

「グーテンモルゲン」を挟み、民族音楽調で幻想的な物語の世界へ誘う「what future waits」、本日の放送は終了しましたと言いそうな終わりと眠りを誘うようなちょっとふわっとした「Watch the TV」と、びっくりするくらい多彩な楽曲が顔をのぞかせる。

アルバム本編としてはこれで終了だが、最後にボーナストラック的な扱いで収録される「銀河線」を忘れてはいけない。

ここまでと完全に一線を画す楽曲なのだが、このアルバム最高の盛り上がりとなる名曲で、sunbrainのポップな部分をこれでもかと詰め込んだ疾走感と流れるようなメロディがとにかく素晴らしい。
廃止された地元北海道の電車『ふるさと銀河線』への切なさと、それにくじけずこれからを生きていく強さを示した詩も耳に残る。

この曲はシングルで出しても良かったのではないかというくらいの存在感。

そんな曲を最後に聴かされてしまったら、また最初から聴きたくなってしまう。
そういう惹きつける音楽がここでは奏でられている。

まさに七色のアルバム。

これはアルバムタイトル"rainbow"と繋がるわけだが、このタイトル自体はsunbrainという名前に由来している。

sunbrainの言葉を分解すると"sun"と"rain"が含まれていることがわかる。
そこから連想されるものとして"rainbow"と名づけたわけだが、アルバムの内容とも完全にリンクするという奇跡的なタイトル。

レビューのために改めて何度か聴きこんだが、やはり素晴らしい一枚。
こういうアルバムこそもっと売れて欲しい。

でも、売り上げということに関しては全くといっていいほど縁が無いことも少なからず影響したのか、2009年に活動休止となってしまった。

そこからは個々で主に作曲家として活動していて、二人の名前を見る機会も多かった。

いつかまた二人での活動再開を願っていたのだが、2011年10月20日に南ヤスヒロさんが事故で無くなったことを知ることになる。

もう二人のsunbrainの音楽を聴くことはできないが、彼らが残した音楽は素晴らしいものばかりだった。
この紹介記事が彼らの音楽に触れるきっかけになれば幸いです。
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