2016年06月10日

キセキ その15 〜ROUND TABLE featuring Nino〜

アーティスト特集企画「キセキ〜僕を作った音楽達〜」。
(企画内容とタイトルの意味はこちら

第15弾となる今回は、"ROUND TABLE featuring Nino"を紹介したいと思います。

ROUND TABLEは北川勝利さんと伊藤利恵子さんによるユニット。
そのROUND TABLEがNinoさんをボーカルに迎えたユニットがこのROUND TABLE featuring Ninoだ。

このユニットとしては主にアニメ関連の楽曲を手がけることが多く、ユニット名は知らなくても楽曲は知っていることも多いのではないだろうか。

そんな彼らの楽曲との出会いは、『無人惑星サヴァイヴ』のEDだった「Sunny Side Hill」。
ここから書き始めても良いのだが、せっかくなので1stシングルからその歴史を辿ってみようかと思う。

その1stシングルは「Let Me Be With You」。
アニメ『ちょびっツ』のオープニング主題歌になっていたこの曲は、ROUND TABLEらしいお洒落な音空間を堪能できる一曲。

それでいながら今までのROUND TABLEと違う感じも漂わせているのが面白い。

当たり前ではあるのだが、やはり大きいのは歌声だろう。
ROUND TABLEでは北川さんがメインボーカルを努めていたが、Ninoさんの芯と透明感を併せ持つ歌声がメインになることで印象が大きく変わった。

そしてその歌声を活かすように明るく華やかなメロディを聴かせることで、ROUND TABLE featuring Ninoだからできる音楽の形を示しているよう。
これはまさに彼らの代名詞。

そのくらい完成された曲だったので、この次がどうなるかと思ったら、また新たな方向性を感じさせる「New World」という楽曲を持ってくるのだから、目が離せない。

アニメ『.hack//黄昏の腕輪伝説』のオープニング主題歌となっていたこの曲は、タイトルの通りそれまでの路線とは一線を画すロック調のナンバー。
力強いサウンドとNinoさんの甘い歌声は一瞬アンマッチのようにも感じるが、むしろそれぞれの輪郭がはっきり出て良さを引き出しあっている。

「Let Me Be With You」を聴いたときは溶け込むような歌声だと感じたが、この曲でもっと存在感のある歌声であったことに気づかされた。
こういうことをサラっとやってしまう彼らのセンスというかプロデュース力にはとにかく驚くばかり。

そしてアルバム「APRIL」。
「Let Me Be With You」に始まり、「Dancin' All Night」、「Beautiful」、「New World」と次々に華やかな楽曲がお目見えする展開だけでもう虜にならざるを得ない。

そこからは「Day by Day」や「Where Is Love」のような落ち着いた曲を聴かせたり、インストの「Book End Bossa」を優雅に聴かせるなど、幅の広い楽曲を楽しませてくれる。

その中でも圧倒的な存在感を放っていたのが「In April」。

これまでどちらかという音空間として聴かせる楽曲が多いように思えたが、この曲は明らかにメロディで魅了してくる。
軽快なサウンドと美しい旋律が心地良く絡みあうことで、本能的に良いと思える名曲になっている。

この曲はROUND TABLE featuring Ninoという可能性が生み出した一つの答え。
彼らのこれからの楽曲の方向性を示した楽曲とも言える。

そして続いてリリースされたのが「Sunny Side Hill」。
この曲が衝撃的だった。

ポップに聴かせる疾走感。
全体的にお洒落な音を散りばめつつも、ためらわないで前に進んでいこうとする勇気を感じさせるという絶妙さ。

このバランスが少しでも崩れたらこんな名曲にはならなかっただろうと思うほど、奇跡的なバランスの上に成り立つ名曲。
自分はこの曲が彼らとの出会いだったので、こういう曲を作れる人に出会えたことが嬉しかった。

続く「Groovin' Magic」。
OVA『トップをねらえ2!』のオープニングだったこの曲は、歌いだしのAh〜のコーラスから心を鷲づかみにされるくらいインパクトあるメロディで惹きつけてくる。

そして、そこからのキャッチーでポップなメロディ展開。
もう一度聴けば頭から離れない。

Ninoさんの歌声が良く似合う甘い歌詞もこの曲をより華やかにしていて、まさに耳が幸せになる一曲。

こういう軽快な曲を作らせたら彼らに並ぶものはない。
その印象を持ち始めていたところに、それを覆す名曲をリリースしてくる。

Rainbow」だ。

『ARIA The ANNIMATION』のエンディングテーマになっていた優しいバラードナンバー。

少しアニメの話をすると、ARIAは何気ない日常の中にある小さな幸せ(作品内の言葉で言えば素敵な奇跡)を描いた作品。
話の中でほっこりとした気持ちを余韻として残してくれる「Rainbow」がエンディングで流れることで、話の完成度までも上げていたことには驚いた。

言うならば、エンディング曲までが1つのお話になっているよう。

アニメのタイアップというのは色んな形が存在すると思う。
アニメの世界観を表したものや、キャラクターの心情を描いたもの。

でも、これだけ作品の余韻を聴かせてくれる楽曲はそうそう無い。

それは続く「夏待ち」も同じだ。

「Rainbow」に続きARIAシリーズの新作『ARIA The NATURAL』のエンディングを担ったこの曲は、場面の浮かぶ詩をメロディアスな音楽で奏で、心情に訴えかけるような余韻を残してくれた。

ここまでメロディを立たせた楽曲はかなり珍しく、彼らの一つの到達点とも言える楽曲だった。

オリコンでも最高24位と好セールスを記録。
アニメのタイアップとしてはもちろんだが、J-POPの楽曲としても素晴らしいということが評価されたのは嬉しかった。

ちなみに、ARIAシリーズにおいては楽曲提供の形でも名曲を手がけている。
(牧野由依さんの「シンフォニー」、「横顔」、葉月絵理乃さんの「明日、夕暮れまで」)

本編とは外れてしまうのであまり詳しくは書かないが、こちらも是非聴いて欲しいもらいたい楽曲だ。

そんな心を揺さぶる楽曲に続いてリリースされたのは、『NHKにようこそ!』オープニング主題歌になっていた「パズル」。

イントロから高揚感あるリズムとトランペットの音色で華やかに幕が上がる一曲。
ゆったりとした曲も良かったが、やはりこういう軽快な楽曲で魅せる華やかさは流石。

そしてこの1ヶ月後には2ndアルバム「Nino」をリリース。

「Sunny Side Hill」から「パズル」までのシングルのカップリングまでも含めほぼ収録されていることもあり、内容は折り紙つき。
「パズル」だけアルバム用にトランペットを外したVer.を収録して、アルバムとしての一体感を持たせていることも好印象。

何より、3曲しかないが、新曲の「Be Your Girl」、「ハローグッバイ」、「Just A Little」がシングルに負けないクオリティなのも嬉しい。
特に「Just A Little」のミディアムテンポのパーティチューンはアルバムの最後に優しい華やかさと楽しい余韻を残すのが最高だ。

元々タイアップを意識して作っている部分もあるはずなのに、アルバムにしても違和感が全く無いどころか、むしろ一つのアルバムとなることで良さがよりわかる。
それだけ芯のぶれない楽曲を作っているということを改めて感じた。

この後の活動も楽しみにしていたのだが、ここからしばらくリリースの間隔が空くことになる。

約2年の沈黙を破ってリリースされたのが「恋をしてる」。

お洒落なサウンドとシンプルで耳に残るメロディに、甘い歌詞と歌声。
シングルでは初めてアニメタイアップが無かったこともあり、どこか肩の力が抜けたROUND TABLE featuring Ninoの素が楽しめる一曲になっている。

カップリングには牧野由依さんに提供した名曲「シンフォニー」のセルフカバーを収録。
原曲より情緒を抑えていることで、誰かを想って歌うというより、物思いにふけるような楽曲に仕上がっている。

夜に窓の外を見ながら静かに聴いていたい、そんな一曲だ。

そしてここからシングル、アルバムとリリースが続いていく。
まずはシングル「ナガレボシ」。

アニメ『夜桜四重奏〜ヨザクラカルテット〜』のエンディングテーマとなっていたこの曲は、疾走感溢れるキャッチーな一曲。

ナガレボシというタイトルを見るとバラードを想像してしまうが、ここで綴られているのは流れ星の儚さではなく、その一瞬に放つ光は決して心から消えないという強い想いを描いている。
これだけ真っ直ぐな想いを綴るのは珍しい気もするが、ROUND TABLEらしい音とメロディに乗ると、やはり彼らの曲になるのが面白い。

そしてこの2ヶ月後にはアルバム「Distance」をリリース。

今までのお洒落なサウンドを残しつつも、よりメロディと歌詞で感情を届けようとしていることが伝わる一枚。

そのこだわりは各曲のタイトルを見ると少しわかるのだが、日本語のタイトルが多い。
それは英語詩の音よりも日本語の言葉そのものにこだわっていることということ。

そしてそれに合わせ、より優雅で深みのある音を奏でていることにより、上質で少し大人びた雰囲気を醸し出している。
その分華やかさはあまりないが、夜に静かに聴きたくなる一枚だ。

ただ、ROUND TABLEらしさが薄れていたことには少し不安を感じていた。

追い討ちをかけるように、またしばらくリリース情報がない日々が続く。
このまま終了してしまうのではないかと想い始めていたところに朗報が。

2012年夏、アニメ「わんおふ -one off-」のOP、EDをROUND TABLE featuring Ninoが担当することが発表される。

しかもこの作品はARIAシリーズの監督である佐藤順一さんが原案・監督して携わる作品とあって、主題歌への期待は膨らむばかり。

アニメの先行配信で初めてOP、EDを聴いたのだが、想像以上の名曲で驚いた記憶がある。

OPは伊藤さん作詞作曲の「約束の場所」。

イントロから疾走感溢れる楽曲で惹きこんでいくのだが、今までのお洒落な感じとも違う、圧倒的な爽やかさ。
風を感じるように歌が走り出し、最後の最後までスピードを落とさずに駆け抜けていく。

これはROUND TABLE featuring Ninoが贈る爽やかさの頂点に立つ楽曲と言ってもいい。
そのくらい文句なしの名曲だった。

EDは北川さん作詞作曲の「メモリーズ」。

こちらは打って変わって優しく聴かせるバラードナンバー。
シンプルなメロディで引き立つNinoさんの歌声、追いかけるように入る北川さんと伊藤さんのコーラス、間奏で入るホーンの音など、全体を通してセッションをしているような一体感と楽しさが溢れている。
(ちなみに、アニメ本編では登場キャラ達が"ぽこ・あ・ぽこ"というユニットでこの楽曲を披露している)

OPもEDも素晴らしく、まさに彼らの集大成とも言える楽曲。

その言葉通り、ROUND TABLE featuring Ninoとしての活動は、この後リリースされるベストアルバム「SINGLES BEST 2002-2012 MEMORIES」で終了ということが発表された。

ベストアルバムには上記のシングルを全て収録。
唯一オリジナルアルバムにはアルバムVer.で収録されていた「パズル」もシングルVer.でアルバム初収録となった。

それだけでなく、「恋をしてる」のカップリングだった「シンフォニー」と、「たまゆら〜hitotose〜」の挿入歌になっていた「ヒマワリ」のセルフカバー、『わんおふ -one off-』OP・EDの「約束の場所」、「メモリーズ」も収録され、SINGLES以上のベストアルバムになっている。

ベストアルバムを聴いて思うのは、どの曲も全く色褪せないということ。
10年間スタイルを大きく変えずに、かつ名曲を届け続けたROUND TABLE featuring Ninoというユニットは、どこにもない存在だと改めて感じた。

ユニットとしての活動終了は本当に寂しい限り。
ただ、ROUND TABLEが解散したわけではなく、お二人とも楽曲提供という形で今でも活発に活動している。

その中でNinoさんの歌声が必要な楽曲が生まれた時、ROUND TABLE fearuring Ninoとしての活動を復活してくれないかなということを密かに願っている。
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