2015年08月21日

キセキ その12 〜SunSet Swish〜

3ヶ月ぶりとなりましたアーティスト特集企画「キセキ〜僕を作った音楽達〜」。
(企画内容とタイトルの意味はこちら

第12弾となる今回は、"SunSet Swish"を紹介したいと思います。

SunSet Swishは石田順三さん、佐伯大介さん、冨田勇樹さんによる3人組バンド。

このブログではすっかりお馴染みの存在で、昔から読んでいる方は彼ら楽曲の素晴らしさについてはよくご存知だろう(と思いたい)。

レビューは「風のランナー」以降の全CD書いていて、しかも唯一書いていないと思われている「明日、笑えるように」も、実はこのブログの前身の頃にレビューを書いていたりする。
なので、彼らの作品は全てレビューを書いているわけです。

そのくらい自分にとっては大切な存在である彼らの魅力について、歴史を辿り、当時のレビューを踏襲しながら一つの記事として書き上げてみようと思う。

まずは出会いの話をしよう。

SunSet Swishとの出会いは、初のリリース作品である「明日、笑えるように」。

哀愁を漂わせるサウンドの懐かしさ、繊細なメロディに乗る透明感ある歌声で響く切なくも優しい言葉。
それは一瞬で人の心を惹きつける圧倒的な力があった。

久々に一つの"歌"として素晴らしい楽曲に出会えたことが、とにかく衝撃的だった。

インディーズでありながら、テレビドラマ『曲がり角の彼女』の挿入歌として起用されていたのも納得だ。

ただ、それだけの作品、更にタイアップもあったにもかかわらず、オリコン最高位79位というのは非常に残念でならなかった。

それでも、彼らはタイアップには非常に縁があるらしく、続く「風のランナー」もタイアップがつき、テレビアニメ『冒険王ビィト エクセリオン』のエンディングテーマに起用されることになる。

一度聞いたらつい口ずさんでしまうようなキャッチーなメロディに、純粋で真っ直ぐな歌詞。
疾走感溢れるテンポがまさに風を運んでくるような一曲で、何度でも聴きたくなり、その度に元気をもらえるような力強さがたまらない。

自分の中でも2006年の年間ランキングでも1位にするくらい大好きな一曲だ。

だがこの曲も売り上げ的には成功したとは言いがたく、楽曲の良さが売り上げに結びつかないもどかしさを感じていた。

そんな流れを一変させる楽曲が遂にリリースされる。
大ヒット曲「マイペース」である。

数え歌ようなサビ、自分の気持ちを奮い立たせるような歌詞も印象強く、一度聞いたら忘れられないくらいインパクトがあった。
実際多くの人の耳に届くことになり、オリコンウィークリー初登場8位、最高6位という快挙を達成。

当時このチャートアクションが嬉しすぎて、何度も更新していたのが良い思い出です。

そしてこの曲は彼らにとって大きな転機となった。

初のラジオ番組が始まり、ミュージックレインレーベルからメジャーレーベルのSMEレコーズに移籍することになる。(この頃のミュージックレインはインディーズレーベルだった)
つまり、ここからはインディーズではなくメジャーでの活動に移ることに。

「マイペース」からわずか4ヶ月。
メジャーデビューシングル「夏が来れば」をリリース。

夏らしい爽やかな曲で、そのメロディセンスの素晴らしさだけでなく、サウンドが作る夏らしい空気感が愛おしい一曲。

メジャーデビューとなれば楽曲のクオリティはもちろんだが、インパクトも非常に重要になる。
それをこのゆったりとしたテンポの夏の曲で勝負に来たというのは、彼らの自信なのだろう。

実際その期待を裏切らない楽曲で、今でもこの曲が好きだという人も多い。

それから3ヶ月後には「君がいるから」をリリース。
映画『天使の卵』の主題歌となったこの曲は、純粋な気持ちを綴ったSunSet Swish初のラブバラード。

繊細に奏でられるメロディに乗る佐伯さんの歌声が真っ直ぐに響いてきて、心を揺さぶられる。
この頃、SunSet Swishは明るい曲や元気が出る曲のイメージがまだ強かったが、この曲でイメージが変わったという意味でも大きな一曲。

と書いた後で難ですが、カップリングの疾走感溢れるアッパーチューン「会いに行くよ」も紹介したい。

疾走感溢れるメロディにホーンを加えたアッパーチューン。

タイトルにもなっている"会いに行くよ"は恋人や友達のことではなく、未来の自分自身のこと。
今の生活のやるせなさを嘆きつつ、いつか夢を掴んだ自分に会いに行くよという自分への応援歌。

この詩を見るたびに負けてられないなといつも思う。
アウトロのギターも格好良いので、そこも注目して聴いてほしい。

そしてこのシングルから1ヶ月後には1stアルバム「あなたの街で逢いましょう」をリリース。

「風のランナー」に始まり、ダークでお洒落な音空間で魅せる「I KNOW」に、大ヒット曲「マイペース」という流れはもはや完璧で、これで惹きこまれないはずがない。

その後も「夏が来れば」、「君がいるから」、「明日、笑えるように」というシングル曲を聴かせつつ、爽やかな風を感じる「優しい風」、アコギの音色が心地よい素朴な「あなたの街で逢いましょう」に、迫り来る電子音と社会を生きる人への応援をこめた歌詞が印象的な「フレー!フレー!」と、とにかく予想の斜め上を行く楽曲を次々と聴かせくれる。

1stアルバムにしてこれだけのものを完成させる彼らのポテンシャルの高さに改めて驚かされた。

その驚きも束の間、それらを凌駕する名曲がリリースされる。
モザイクカケラ」である。

本当にこの曲は衝撃的だった。

"モザイクカケラ"という印象的なフレーズとそれを最高に活かす繊細なメロディ。
そして、その言葉に込めた見えない未来を探すというメッセージ。

早すぎないテンポながら、畳み掛けるような展開。
その全てが素晴らしく、それらが一体となったときの破壊力は想像を超えるものであった。

実際この曲は多く人の耳に届くことになり、オリコンウィークリーで8位にランクインすることになる。
メジャーデビュー以降では初のTOP10入りとなった。

ランクインしたときはとにかく嬉しかった。
この名曲が評価されたことと、メジャーデビュー以降に再びSunSet Swishの名前が大きく出てきたという事実が。

その感動は今でも忘れられない。

そしてここからのSunSet Swishの勢いは更に増していく。

続く「ありがとう」は真っ直ぐな歌詞が印象的な一曲。

「モザイクカケラ」という巧みな楽曲から一転してど真ん中の直球な楽曲は、そのギャップもさることながら、綴られた詩の優しさと心を揺さぶるような切ないメロディが胸を打つ。

飾り過ぎないシンプルさを持ちながらSunSet Swishらしい情緒を感じさせるところは何度聴いても素晴らしいの一言。
SunSet Swishと聞いたときに、この曲を挙げる人も少なくない。

PASSION」はその名の通り情熱的な一曲。

重ならない理想と現実に途絶えそうになる情熱。
そんなとき、友からもらった情熱をまた燈しながら明日へと向かおう。
そんな強く熱い想いの込められた歌詞。

それを佐伯さんの透き通った声で、感情たっぷりに歌い上げる。
一度聞けばその熱さに心が震える名曲。

(ちなみに、この曲のジャケットには同じ事務所である声優の寿美菜子さんが起用されています。まだ「けいおん!」に出る前なので、当時は誰だろうと思っていました。)

I LOVE YOU」はゼクシィのCMソングとして大量にO.A.されていて、発売前から話題になっていた楽曲。

どこまでもファンキーなこの曲は、繰り返される「I Love You」のフレーズの耳なじみの良さととともに、君だけでなく皆が幸せになって欲しいという気持ちも届けてくれる。
それくらい、聴き手をこの幸せの輪の中に入りこませてくれる名曲。

こういった楽曲が出てきたことで、彼らの活躍が益々楽しみになった。

そして、アルバム「PASSION」。

上記の名曲ばかりのシングルに加え、「ありがとう」を超える真っ直ぐさを持った「スーパーカー」に、「HERO」のようにメラメラ燃えるような熱さ、「夏色パズル」のような風を感じるような爽やかな楽曲もここにはある。

彼らの底知れない楽曲の幅と丁寧な音作りに度々驚かされているが、また驚かされることになった。

そこからわずか3ヶ月でリリースされた「あすなろ」。

ピアノとストリングスの音色が心地よいバラードナンバー。

歩いてきた道の中で笑顔も涙もあったけど、歩んできた道を後悔はしていない。
これからもゆっくりでいい、夢を追い続けていこう。

サウンドが優しいため、この言葉を乗せた佐伯さんの歌声が心に響き渡る一曲。

映画のタイアップもあったのだが、この曲がオリコンウィークリー90位までしか来なかったことにはかなり落ち込んだ。
シングル「PASSION」の辺りから売り上げ低下を感じ始めていたが、まさかここまでとは…。

名曲を作り続けながらもそれが評価されないというのは何とももどかしい。

ここに危機感を覚えたのか、続く「浪漫少年」は初の配信限定の形でリリース。

正直この曲が配信限定だったのは今でも勿体なかったと思う。

歌い始めから感じる哀愁と浪漫少年の姿。
大好きな君と過ごしたその少年の日々を綴った言葉は、聴いているだけ情景が目に浮かび、胸に込み上げてくるものがある名曲。

SunSet Swish×哀愁。
この掛け合いが素晴らしいものになるだろうとは思っていたが、それは期待以上の破壊力を持っていた。

それだけの楽曲だっただけに、シングルリリースであればもう少し多くの人の目・耳に触れる機会があったのではないのかと今でも考えてしまう。

でも、この哀愁というテーマ。
これは彼らの楽曲に大きな魅力を追加することになる。

その魅力を最大限に引き出した楽曲が、続く「さくらびと」だろう。

届けたくても、もう届かない。
大切な人を想いながらも、散ることを選ばなければならなかった一人の願いと想い。

それを壮大なストリングスアレンジと、佐伯さんの情感溢れる歌声が包みこむ。
そこから生まれる情景は、舞い散る桜に乗って儚い想いを乗せて届けてくれるよう。

桜の咲いて散っていく儚さに、愛や命を重ねたSunSet Swish渾身の純愛ソング。
これを聴いたときは本気で鳥肌が立つくらいだった。

実際この楽曲は多く聴かれることになり、オリコンウィークリーでも11位にランクイン。

それを見て、SunSet Swishの楽曲を聴いてくれる人がまだまだたくさんいることがとにかく嬉しかった。

そこから間髪いれずにアルバム「夕暮れマエストロ」をリリース。

「浪漫少年」、「さくらびと」の流れを汲むように、全体を通して哀愁と夕暮れの黄昏感が漂う一枚。

今までは聴き手を応援するようなイメージが強くあったが、このアルバムには内に秘めた感情が滲み出るような楽曲が多く収められている。
その言葉が一つ一つ丁寧に綴られているだけでなく、情緒たっぷりに歌い上げているため、その想いが痛いほど伝わってくる。

またアレンジの面でも磨きがかかっており、「遠くへ」のサックスの大人びた雰囲気に、「さよならを言えなかった」のような古き良きJ-POPの面影、「夕暮れマエストロ」のじんわりと広がる音使いなど、聴き進める毎に驚きが待っている点も素晴らしい。

タイトルにある"夕暮れ"は英語にすればSunset。
まさに彼らの持つ魅力を余すことなく詰め込んだアルバムと言える。

ここで一つの完成系とも言える作品を出した次は、新境地を聴かせてくれることになる。

SunSet Swishの第二章の幕開けとも言える「バライロ」は、怪しげに攻め立てる小気味いいアップテンポナンバー。

イントロのギターソロをはじめ、ピアノの音、そして歌声。
シンプルな音の重なりの中、要所要所でそれぞれの音が引き立つ構成も面白い、魅せる楽曲。

作詞作曲を石田さんではなく冨田さんが務めることによって、ここまで新鮮に楽しませる楽曲になるとは思いもしなかった。

ところがだ。
この曲の売り上げが驚くほど振るわず、初の100位割れ。

「さくらびと」からわずか5ヶ月しか経っていないのだが、ここまで落ちるものか。
流石にこのとき危機感を覚えた。

この半年後にはベストアルバム「SunSet Swish 5th Anniversary Complete Best」をリリース。

全てのシングル曲に、カップリングのみに収録されていた「Top Of The Morning」、「三日月の舟」、「あなたに」を収録した充実した内容。(「会いに行くよ」が入っていないのは納得いかないですが)
ただし、新曲が収録されていないため、全てのCDを持っているファンにとっては物足りない。

以前別の記事でも書いたが、ベストアルバムがリリースされるというのは必ずしも嬉しいことではない。
それが一つの区切りとなる可能性があるからだ。

SunSet Swishの場合も例外ではなく、このリリースから2ヵ月後、活動休止が発表されることになる。

ここまでシングル12枚、配信限定1枚、アルバム3枚、ベストアルバム1枚。
リリースしたこれら全てが名曲であり、名盤であった。

大ヒットした曲もあった。

それなのに、デビューから5年という期間で活動休止を選択しなければならない状況になっていたことが、悔しかった。

だからこそ、SunSet Swishの楽曲の良さを知ってもらいたい。
その想いで綴ったこの記事が色んな人に届いてくれれば嬉しい。

最後のほうは少し切ない文章になってしまったが、付け加えて書いておかなければならないことがある。

今年、2015年にSunSet Swishはめでたく活動再開。
ライブも精力的に行っており、ライブ会場限定ではあるが「幸せの糸」も発売している。

また彼らの楽曲が聴けることが嬉しくて仕方がない。
その喜びを噛み締めながら、この記事を書き終えるとしよう。
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