2020年10月25日

「ポストに鍵」 セットラウンドリー

今回はセットラウンドリーの「ポストに鍵」を紹介します。

今までは日常の中にあるドラマと優しい旋律を聴かせるイメージがあったが、今作はもう少し華やかで陰と陽が色濃く出ている印象だ。

詩の面では男女間の心情を歌っていて、「メンヘラヘビーガール」からかなり描かれた心情の個性が際立っているのだが、病んだ詩の雰囲気は感じさせつつ、キャッチーなメロディで聴かせているのが心地よい。

女性の視点から描かれている点では「ポストに鍵」、「Cheek」も同様。

「ポストに鍵」はどこか吹っ切れた疾走感を跳ねるようなリズムで聴かせているのだが、際立っているのはサビの"鍵 鍵 鍵"のコーラス。
ノリの良さからは明るい曲だと思わせるが、根本にある吹っ切れた想いをこういう形で表現するのは面白い。

「Cheek」はホーンの音が入っていて華やかな印象。
cheekを入れて攻めている姿勢が音色からも伝わってきて、色気を感じさせるのは新鮮に映る。

華やかな曲がある反面で、「素直になれない」のようなシンプルな音色で聴かせる楽曲もある。

こういった楽曲があることで、最初に書いた陰と陽が際立っていて、それぞれの心情の個性のコントラストも楽しめる。

リリース毎に楽曲の魅力が増し続けているのだが、ここまで表現力が増すとは思わなかった。
それにより、ずっと聴いても飽きないような聴き応えのある一枚になっている。

ちなみに、こちらで「ポストに鍵」が視聴できます。

posted by micarosu at 21:50| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月18日

「rebooted」 Fanta Zero Coaster

今回はFanta Zero Coasterの「rebooted」を紹介します。

Fanta Zero Coasterのデビュー20周年記念3rdアルバム。

昨年、20周年を前に再集結ライブをしてくれたと思ったら、今度はまさかオリジナルアルバムリリース。
これは率直に嬉しいという感想が真っ先に出てくる。

2ndアルバム「GALLOP」からは実に17年ぶり。

元々"自称早すぎたバンド"と言っているように、ちょっと時代の先を行き過ぎていた雰囲気は確かにあったが、時を重ねたことでようやく時代が追いついて来た…というよりは、より背伸びをしない等身大の自分を表現できるようになったという感じが強い。

楽曲の雰囲気も当時と違い、洋楽のテイストが前面に出ている。

「never fear」は英語詩の部分がかなり多く、初めて聞いたときは結構驚いた。

でも聴いていると、メロディの良さやウィスパーボイスのコーラスは健在だなと気づく。
そこに培ってきた演奏と表現技術を重ねて、大人びた声と音の抜けを聴かせてくれるところが大きく進化している。

洗練されたメロディも聴きどころで、「bedtime story」の叙情さや「Love touch」のようなポップさはこのメロディがあってこそという感じだ。

かと思えば、「puzzle」ではラップを織り込んでいたり、「待夢」ではかなり陰のある音世界観を聴かせたりと一曲ごとにそのイメージは異なる。

中でも雰囲気が少しだけ違うなと感じたのは「Tokyo 20th」。

調べてみると、活動休止前の最後に作った曲とされる「TOKYO」をこの2020年にリアレンジしたというものらしい。
メロディに他と違う懐かしさを感じたのは、そのためかもしれない。

リアレンジしていることもあり、違和感を覚えることはもちろんないのだが、当時のアレンジだったらこうするかもしれないという回顧の音色が不思議と頭の中で鳴る感じがある。

これは言わば、当時のファンゼコと今のファンゼコを結んでくれる曲。

決して今が別物ではなく、一度途切れたレールが再び繋がったことをこの曲が示してくれているようだ。

デビュー20周年。
活動休止期間15年を経て進化した今の彼らに驚きつつも、その格好良さに思わず聴き入ってしまう、そんな良さがこのアルバムにはある。

posted by micarosu at 22:34| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月11日

「PASS THE BEAT」 SURFACE

今回はSURFACEの「PASS THE BEAT」を紹介します。

通算8枚目。
再始動後2枚目となるオリジナルアルバム。

「PASS THE BEAT」というタイトルから格好良いなと思っていたが、収録曲もその名に負けない粒ぞろいの楽曲ばかりだ。

SURFACEはアルバム最初から全開の場合が多いが、クールなインスト曲「PASS THE BEAT」で始まりを予感させつつ、「スタートラインに立て」で確かに始まるが、実はまだアップの段階という感じ。

イントロのギターからの格好良さに酔いしれさせて、楽曲に釘付けにしたところで、「指切りしよう」で一気に弾ける。

"やらない後悔はもうやめにするってさ 指切りしよう"
とか椎名さんらしい言葉がメロディがハマってとにかく熱く格好良い。

「クロール」で熱さを維持しつつ、ここからは少し落ち着いたゾーンへ。

「誰がなんと言っても」、「LAST BIRTHDAY」、「アン」のメロディは少し懐かしさもありつつ、円熟味を増してきた良さがある。
こう来て欲しいところにメロディが来てくれるのは非常に心地よい。

続く「タユタウ」、「そっか」、「なぁ」、「下手くそな応援歌 -たまり場 パート3-」の流れはSURFACEらしさ全開という感じだ。

「そっか」のような口語的なタイトルはSURFACEの中ではお馴染みで、この時点から感じた名曲の予感そのままの名曲。
イントロから格好良いのだけど、詩は結構ナイーブで後ろめたさがあって、それでも良いじゃないかと前を向こうとする姿に男臭さを感じさせてくれるのが良い。

「なぁ」はタイトルのつけ方の時点で「さぁ」と「なあなあ」を思い出すわけだが、イントロを聴いたらその頃の雰囲気を感じさせてくるのが堪らない。

「下手くそな応援歌 -たまり場 パート3-」は「たまり場」シリーズの3作目。
といっても曲が同じというわけではなく、昔の友人を想う言葉に色んな想いが溢れてくる。

そしてラストは「風よ聞けこの声を」。
最後にもう一度盛り上げてくるSURFACEの真骨頂とも言える構成で締めてくれる。

このように今回もSURFACEらしさは全開なのだが、今までより洗練された音とメロディを武器に攻めてくる"格好良さ全開"のアルバムという表現のほうがしっくり来る一枚だ。

ちなみに、下記リンクからそれぞれの楽曲が視聴できます。
LAST BIRTHDAY

posted by micarosu at 22:44| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月10日

Moonlight J-POP 20年8月篇

今回はサブコンで発表した、2020年8月度のマイベスト10を紹介します。
ダウンロード

続きを読む
posted by micarosu at 22:43| Comment(0) | Moonlight J-POP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月04日

「Patrick Vegee」 UNISON SQUARE GARDEN

今回はUNISON SQUARE GARDENの「Patrick Vegee」を紹介します。

アルバムという単位の中で出来ること。
確信を持った遊び心と巧みさが、凄い作品を生み出した。

まずは初めの3曲から触れよう。

ユニゾンのアルバムの最初3曲は曲間を極端に短くしてライブ感を出しているのが特徴なのだが、「Hatch I need」、「マーメイドスキャンダラス」、「スロウカーヴは打てない(that made me crazy)」の3曲で一気に畳みかけてくるのはいつも通り。

だが、ここからが違う。
もちろん毎作違うだけだが、その中でも今作は違いを感じると思う。

キーワードは"繋がり"だ。

アルバムを聴いていると、次にどんな曲が来るかワクワク想像しながら聴いていることも多いと思うのだが、今作は聴いていると次に来るのはこの曲かもしれないと何故か自然と気づいて、実際その通りになっているはずだ。

その仕掛けは、前の曲の最後の歌詞にある。


"つまりレイテンシーを埋めています"(3「スロウカーヴは打てない(that made me crazy)」)

4「Catch up, latency」


"ジョークってことにしといて。"(6「夏影テールライト」)

7「Phatom Joke」


"Fancy is lonely"(8「世界はファンシー」)

9「弥生町ロンリープラネット」


"そしてぼくらの春が来る"(9「弥生町ロンリープラネット」)

10「春が来てぼくら」


このように、前の曲の歌詞の中に次の曲の歌詞が入っているのだ。

「弥生町ロンリープラネット」だけ違うが、他は全てシングル曲というのが注目点。

元々このシングル3曲はそれぞれ全く個性が違う、言わばバラバラの楽曲だった。

アルバムに入れるにあたってどう構成するかかなり悩んだと思うのだが、こういう仕掛けを入れることで、自然な繋がりであるだけでなく、期待通りのワクワクがやってくるという利点があり、効果は想像以上にある。

もちろんそれはシングル曲を知っていることが前提ではあるのだが、逆に知らない人の立場から見てみても、この次の曲はシングル曲だったのかと知るきっかけになるので、どちらにしても効果は大きい。

というのも、今回アルバム曲がシングル曲と遜色無いくらいに存在感があり、どれがシングル曲だったか気づかないくらい名曲しか出てこないからだ。

中でもミディアムテンポの切ないメロディが印象的な「夏影テールライト」と、色んな意味でぶっ飛んだ構成と畳みかける言葉遊びが印象的な「世界はファンシー」が中核にあるのが最高だ。

昨今はアルバム単位で聴かれることが少ないとも言われるが、こういった遊び心を持たせてくれるとアルバムを聴いてみたいと思わせてくれるし、聴いてよかったと思わせてくれる。

その要因の一つとして、アルバム全体の収録時間が12曲で45分と短めなことも大きい。

ワクワクの構成と一気に聴ける凝縮された収録内容。
アルバム単位で聴かれない時代に一石を投じる、アルバムである意味のある一枚。

ちなみに、下記リンクから各曲が視聴できます。
世界はファンシー
夏影テールライト

posted by micarosu at 21:42| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする