今回は
UNISON SQUARE GARDENの「
Patrick Vegee」を紹介します。
アルバムという単位の中で出来ること。
確信を持った遊び心と巧みさが、凄い作品を生み出した。
まずは初めの3曲から触れよう。
ユニゾンのアルバムの最初3曲は曲間を極端に短くしてライブ感を出しているのが特徴なのだが、「Hatch I need」、「マーメイドスキャンダラス」、「スロウカーヴは打てない(that made me crazy)」の3曲で一気に畳みかけてくるのはいつも通り。
だが、ここからが違う。
もちろん毎作違うだけだが、その中でも今作は違いを感じると思う。
キーワードは"繋がり"だ。
アルバムを聴いていると、次にどんな曲が来るかワクワク想像しながら聴いていることも多いと思うのだが、今作は聴いていると次に来るのはこの曲かもしれないと何故か自然と気づいて、実際その通りになっているはずだ。
その仕掛けは、前の曲の最後の歌詞にある。
"つまりレイテンシーを埋めています"(3「スロウカーヴは打てない(that made me crazy)」)
↓
4「Catch up, latency」
"ジョークってことにしといて。"(6「夏影テールライト」)
↓
7「Phatom Joke」
"Fancy is lonely"(8「世界はファンシー」)
↓
9「弥生町ロンリープラネット」
"そしてぼくらの春が来る"(9「弥生町ロンリープラネット」)
↓
10「春が来てぼくら」
このように、前の曲の歌詞の中に次の曲の歌詞が入っているのだ。
「弥生町ロンリープラネット」だけ違うが、他は全てシングル曲というのが注目点。
元々このシングル3曲はそれぞれ全く個性が違う、言わばバラバラの楽曲だった。
アルバムに入れるにあたってどう構成するかかなり悩んだと思うのだが、こういう仕掛けを入れることで、自然な繋がりであるだけでなく、期待通りのワクワクがやってくるという利点があり、効果は想像以上にある。
もちろんそれはシングル曲を知っていることが前提ではあるのだが、逆に知らない人の立場から見てみても、この次の曲はシングル曲だったのかと知るきっかけになるので、どちらにしても効果は大きい。
というのも、今回アルバム曲がシングル曲と遜色無いくらいに存在感があり、どれがシングル曲だったか気づかないくらい名曲しか出てこないからだ。
中でもミディアムテンポの切ないメロディが印象的な「夏影テールライト」と、色んな意味でぶっ飛んだ構成と畳みかける言葉遊びが印象的な「世界はファンシー」が中核にあるのが最高だ。
昨今はアルバム単位で聴かれることが少ないとも言われるが、こういった遊び心を持たせてくれるとアルバムを聴いてみたいと思わせてくれるし、聴いてよかったと思わせてくれる。
その要因の一つとして、アルバム全体の収録時間が12曲で45分と短めなことも大きい。
ワクワクの構成と一気に聴ける凝縮された収録内容。
アルバム単位で聴かれない時代に一石を投じる、アルバムである意味のある一枚。
ちなみに、下記リンクから各曲が視聴できます。
世界はファンシー夏影テールライト
posted by micarosu at 21:42|
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