2020年09月27日

「Moonrise」 降幡愛

今回は降幡愛さんの「Moonrise」を紹介します。

声優・降幡愛さんのデビューミニアルバム。

元々古いアニメが好きというのは知られていたが、今作で披露したのはまさかの80年代シティポップ。
それを"風"ではなく、かなり本格的なレベルで作り上げているのが凄い。

リード曲「CITY」はその中でも圧倒的。

電子音が主体で機械的・無機質な空気を演出しつつ、どこか淡々とした歌声でありながら、サビの"CITY"で熱が入り、秘めた感情が滲み出るような歌い方が非常に心地よい。

言葉の選び方も少し懐かしく、"焦げ臭さ"と表現した走る車の様子から当時の車のエンジンと排気ガスの空気を感じさせるなど、音だけでなく全体を通して80年代の空気を感じさせているのが見事。

そういったブレない作り込みによって、ここまで本格的なものが作り上げられているのだ。

ただ、80年代シティポップと言っても、その表現は一つではないことが他の曲を聴くと見えてくる。

「シンデレラタイム」は少しフワッとした音が特徴的で、夢見心地な時間の尊さと儚さを表現していたり、「ラブソングをかけて」は南国情緒漂うトロピカルで甘い雰囲気を出している。

「Yの悲劇」の存在感は特に強く、ピンク・レディーを彷彿とさせる跳ねるリズムと歌謡曲テイストはもはや70年代に近く、そこにサビであまりにも印象的な"YADA"を連呼されるのだから、頭から離れなくこと必須。

中毒性と大衆性を持った名曲がこんなところに潜んでいるのだから恐ろしい。

全曲作詞:降幡愛さん、作曲:本間昭光さん。
この布陣が揃ったことにより、80年代シティポップという物凄い破壊力を持った一枚が生み出された。

これは偏見持たずに一度聴いてみてほしい。

ちなみに、こちらで「CITY」が視聴できます。

posted by micarosu at 21:25| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月20日

「ノーメイク、ストーリー」 杏沙子

今回は杏沙子さんの「ノーメイク、ストーリー」を紹介します。

自然で飾らない言葉。
自分自身の想いがとても濃く出ているのを感じる。

「Look At Me!!」から存在感は抜群。
私を見てというなかなかに直球な意味だが、これは奥に秘めた欲望であり、自身を鼓舞するような想いが感じられる応援歌のような感じだ。

「クレンジング」などはもう少しリアルな印象で、後悔と葛藤が伝わってくる。
ちょっとふわふわした音色もこの感情を引き立てる。

リアルさという意味では「見る目ないなぁ」もこれに近いだろうか。

アルバムの後半は少し印象が変わってくる。

繊細で美しいメロディを奏でる「outro」に始まり、ダークな世界観の「交点」へと続く。

「東京一時停止ボタン」は中でもかなりディープで、一時停止することを余儀なくされた主人公の姿に色んな感情が重なる。
サビの「こんなんじゃないないないない泣いた僕の」の部分が特に強い。

そこから吹っ切れたように弾ける「ジェットコースター」の爽快さ。
自暴自棄になって後ろ向きになりそうなのに、それを全力で前に進めようとする力に圧倒される。

ラストはファーストシングルでもある「ファーストフライト」。
思えばここからこのアルバムの方向性の欠片があった。

"逃げたいのは今、戦っているから"
自分自身の想いをもっと正直に真っ直ぐに表現しようというのが、言葉から伝わってきていた。

その欠片が詰まったアルバム。
飾らない素の言葉を馴染みやすいメロディで聴かせる心地よい一枚だ。

ちなみに、こちらからアルバムのトレーラーが視聴できます。

posted by micarosu at 18:42| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月13日

「One」 alcott

今回はalcottの「One」を紹介します。

これは圧倒的だなと思った曲に久々に出会った。
それが「花ぐるま」だった。

懐かしき和の美しさを感じさせる切情の歌謡ロックともいうべき楽曲。

始まりの"花ぐるま"という言葉とメロディだけで感じた切なさ。
静かな始まりだが、2回目のサビからは音の強さも加わり、哀しき感情の熱量が一気に上がり、それと同時に惹きこむ力も圧倒的に増していく。

ラストのサビでそれはピークに達し、アウトロの余韻に儚さが溶けて消えていく。

この曲の展開や言葉の選び方、そしてメロディ。
どれもが素晴らしく、美しい。

この曲は衝撃だった。

ただこれは彼らの魅力の人でしかない。

アルバムを聴くとわかるのだが、一つ一つが確固たる個性を持っていて、それぞれが小説のように形成されている。

「あなたが主役だ」は真っ直ぐな言葉と流れるようなメロディで聴かせる応援歌になっているし、「アイラブユー」のようにキザな言葉が印象的な少し甘いラブソングだってあるし、「かじつをたべて。」のように一途な想いが溢れる曲もある。

7つの小説が魅せて聴かせるもの。
それを知るために聴いてみると、きっとハマってしまうだろう。

ちなみに、こちらで「花ぐるま」が視聴できます。

posted by micarosu at 22:21| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月09日

Moonlight J-POP 20年7月篇

今回はサブコンで発表した、2020年7月度のマイベスト10を紹介します。
ダウンロード

続きを読む
posted by micarosu at 21:17| Comment(0) | Moonlight J-POP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月06日

「世界の街角」 平川地一丁目

今回は平川地一丁目の「世界の街角」を紹介します。

まさかの再結成からのアルバム「時のグラデーション」のリリース。

その余韻もつかの間、そこから半年も経たないうちに新作アルバムが出てくるなんて誰が想像しただろうか。

しかもこれがかなり面白い作品になっている。

前作「時のグラデーション」が平川地一丁目の再起動だとしたら、今作は実験。
今までの平川地一丁目を踏襲しつつ、自分たちが納得の行く形を追求して昇華させた音楽といった印象。

具体的に言うと、詩の世界と音の世界の融合だろうか。

記憶を辿る様子を描いている「記憶の中にある町」では、はっきり聞こえるのに少しずつ消える音が入っているのが印象強く、記憶の中に確かにあるものなのにどこか遠くて掴めない理想という雰囲気を音だけでも感じることができ、これが詩の世界と見事に重なる。

「世界の街角」も雰囲気は近く、一人だけの世界で理想通りになっても意味が無いという感情が同じく悲しげな音から伝わる。

もちろんこういった悲しい曲ばかりではなく、「月夜の遠吠」のような生きることへの力強い決意を歌った曲では、大地を一歩一歩踏みつけていくような力強さを醸し出していたり、「夏の風」では暑いのだけど少し懐かしい風を感じながら、物思いにふける様子が上手く表現されている。

また、今作では直次郎さんの作曲した曲が3曲入っているのが大きなアクセントになっている

直次郎さんの曲というと「校庭に見つけた春」や「夢見るジャンプ」と言ったシングル曲を思い浮かべてもらえるとわかりやすいのだが、メロディに明瞭さと繊細が滲み出ていて、そのメロディだけで哀愁を誘うのが特徴。

「幾星霜」、「此処に在るもの」、「若草」とどれを取ってもその楽曲の良さに惹きこまれる。

中でも2曲目に収められている「幾星霜」の近くに感じたいのに遠く届かない想いを紡いだメロディの存在感は、アルバムの中でも光っている。

最初に実験という言葉を使ったが、物凄く新しいことに挑戦をしているのではなく、その個性を高めるためにどう表現をするかという実験であることがわかると思う。

平川地一丁目が出来ること。
平川地一丁目にしか出来ないこと。

それを追い求めて辿り着いた珠玉の一作。

ちなみに、こちらからダイジェスト視聴ができます。

posted by micarosu at 23:15| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする