2020年07月26日

「ゴライコー」 杉本ラララ

今回は杉本ラララさんの「ゴライコー」を紹介します。

リード曲「ゴライコー」に惹かれて聴き始めたのだが、内容のあまりの充実さに驚かされた。

オリジナルアルバムではあるが少し特殊で、バンドのおつかれーず時代の「きみの町まで」を再収録していたり、「たからもの」、「葉月」などは再録をしていて、おつかれーずから杉本ラララまでの10年間の軌跡を辿るような内容になっている。

CDを手にした時はこの情報を知らなかったのだが、後から知ってもどれが昔の曲でどれが新しい曲かわからないくらい全ての楽曲に遜色がなく、ただただそのセンスと歌に惹かれる作品になっている。

その中でも存在感が強いのは「ゴライコー」と「海蛍、悲しくて」だろうか。

「ゴライコー」はアルバムのタイトルにもなっているリード曲。

"逃げ出していいさ 生きていこう"

逃げることは後ろ向きにも捉えられるだろうが、受け止められなくて溢れてしまうのではなく、逃げてでも必死に生きていこうとする言葉は凄く力がある。

それは言葉そのものもそうだが、杉本さんの歌声の力も大きい。
心の奥底から大地に響き、空を渡っていくような透明感と魂のこもった歌声の力が。

この逃げるというキーワードはもう一曲挙げた「海蛍、悲しくて」にも通じる。

"痛みから逃れていたいだけさ"

こんなに綺麗なメロディなのになんでこんなに悲しいのだろう。
言葉一つ一つから悲痛な想いが滲み出る。

痛みから逃れようとしていることに気付いて欲しい。
それが救いになるから…という心の叫びには、心を揺さぶるものがある。

ちなみに、このメロディは、おつかれーずのアルバム「露天」に収録されている「海蛍」も同じ。
こちらは歌詞がとても前向きな印象が強かったのだが、原曲のこちらを聴くと、やはりこちらのほうが想いの深さを感じる。

好みはもちろん分かれると思うが、「海蛍」も合わせて聴いてみるとより楽しめると思う。

おつかれーずから杉本ラララへ。
この10年の軌跡と今を詰め込んだベストアルバムに近いオリジナルアルバム。

これが良くないはずがない。
名盤であるとだけ言っておこう。

ちなみに、下記リンクからそれぞれの楽曲が視聴できます。
ゴライコー
海蛍、悲しくて

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2020年07月19日

「Night Songs」 広沢タダシ

今回は広沢タダシさんの「Night Songs」を紹介します。

コロナウィルスによる自粛のタイミングで制作されたという今作。

ある程度の制限がある中ということもあり、音数は少なく、落ち着いた楽曲が並んでいる。

象徴的なのは一曲目の「tiny room」。

曲が始まるまでの数秒間にノイズのものが入っているのだが、インタビュー記事を読む限り、一人で演奏して歌うにあたって録音のボタンを押すために歩いているために入ったものらしい。

一人、そして部屋。
その限られた空間からまた会おうと願う歌には悲痛さと希望が滲み出ている。

ただ、直接的な表現をしているのはこの楽曲くらい。
他の楽曲では夢や幻、月、夜など、部屋から見えるものとそこからの妄想・想像が描かれているのがかなり特徴的だ。

また、一人というキーワードを出しつつも、サポートやコラボをしているアーティストの存在があるのも面白い。

「風待ち停留所」では矢野まきさん
「月が微笑む夜に」ではSinonさん
「これから夢を見るところ」では馬場俊英さん
がそれぞれボーカルで参加し、他の曲でも多数のアーティストが演奏で参加している。

とはいえ、一緒に制作というよりは、一つ一つの歌と音を重ね、足し合わせている印象が強い。
言うならば1×1ではなく1+1。

でも決して単純な足し合わせではなく、交互に歌ったり、声を重ねたり、その中で試行錯誤をしているのが見え、聴いていると驚きのような新しい発見がある。

全体的に落ち着いた楽曲が並んでいて、静かな夜にBGM的に楽しむのも良さそうだが、「彗星の尾っぽにつかまって」や「彼方」のようにメロディアスに感情を響かせる楽曲の存在があるので、つい聴き入ってしまうのも良い。

今日の夜に一枚いかがだろうか。

Night Songs.JPG
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2020年07月12日

「EP6〜ケムシのうた」 馬場俊英

今回は馬場俊英さんの「EP6〜ケムシのうた」を紹介します。

EPシリーズも遂に6枚目。
デビュー25周年を迎えた馬場俊英さんが送り出した新曲は格好良いロックナンバーだ。

表題曲ではあまり多くないが、馬場さんのロックナンバーの熱量が半端ないことは「ファイティングポーズの詩」、「平凡」などで感じていると思うが、今回はそこに円熟味を増した渋さが滲み出ていることが聴きどころ。

単純な頑張れではない。
絶対負けない強さでもない。

這いつくばってもがきながら生きていけば、いつか羽が生えて飛んでいくことが出来る。
それに今は気づいていないと思うけど、ちゃんとその頑張りを見て信じてくれているような包み込む強さ。

歌声と歌詞からの強さだけでなく、渋く重厚感のあるエレキの音色や、最後のコーラスから漂う希望感があることでこの強さに彩りを持たせ、より輝いているのが素晴らしい。

この包み込むような強さは、「最終ランナー」にも通じる。

打って変わってのミディアムスローなナンバーで、歌声がより染みる。

君が決めたゴールに向かって走り続ける限り、例え最終ランナーになっても応援し続ける。
くじけそうになった時にこの歌を聴くと、大きな力になれると思う。

あと2曲はカバー曲。
斎藤誠さんとコラボしたビル・ウィザースの名曲「Lovely Day」のカバーと、斎藤誠さんの名曲「天気雨」のカバー。

2曲とも「ケムシのうた」同様、ギターの音の存在感が際立つ。
これによって馬場さんの歌声の響き方がまた違って聞こえるのが良い。

EP作品はかなりの良作揃いだが、今回はその中で飛びぬけている。

格好良くて強い。
馬場俊英さんのその新たな魅力に虜になる。

ちなみに、こちらで視聴できます。

posted by micarosu at 21:56| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月11日

Moonlight J-POP 20年5月篇

今回はサブコンで発表した、2020年5月度のマイベスト10を紹介します。
ダウンロード

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2020年07月05日

「れあもの」 PARIS on the City!

今回はPARIS on the City!の「れあもの」を紹介します。

意外。
その言葉が真っ先に浮かぶだろうか。

これまでの作品はどちらかと言えばポップな印象が強かった。
今作はそれらと比べると少し重い。

リード曲「れあもの」のイントロのロックンロール感からもそれはわかると思う。

ただ、聴き進めるとサビでは開けた雰囲気があったかと思えば、全体を通して"裏切り"が一つテーマになっていたりと、重いのだけど重さを感じさせないのが非常に面白い。

今回の収録曲はこのように新たなテーマに挑戦をしていること、そして、相反するものが曲の中にあるというのが注目すべきポイント。

「これまでのこと」の陰と陽、「蝶の顔」のコーラス、「喜びに憧れて」の歌謡曲感。

「めぐるちゃん」の不安からのめぐり逢いへの希望、「ビローバ」の深さ渋さの出た極上のバラードも最高だし、「春の夜」のファンキーさも面白い。

らしくないとも言えるのだけど、聴いているとこういうのもらしさなのかなと思えてくる。

彼らが歩む新たな一歩が垣間見える一枚だ。

ちなみに、下記リンクからそれぞれの楽曲が視聴できます。
れあもの
めぐるちゃん

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