2020年05月03日

「時のグラデーション」 平川地一丁目

今回は平川地一丁目の「時のグラデーション」を紹介します。

平川地一丁目"再結成"。

この言葉を聞いただけでもテンション上がりっぱなしだったのに、まさかオリジナルアルバムをリリースすると聞いたら、もう嬉しくて仕方がない。

タイトルは「時のグラデーション」。
前作「雪解けの頃に届く手紙」から実に13年ぶり、通算4枚目のオリジナルアルバム。

彼ららしいフォークを前面に出したメロディと音色を聴かせつつ、歌詞の面ではタイトルの"時"が示すように、解散から再結成、今に至る時の流れの中で感じた想いが溢れている。

アルバムの始まりを告げる「マルーン色の電車」からそれは全開だ。

イントロのギターとシンセの重い音から始まり、悲しい音色が奏でられていく。

描かれているのは、始発電車を追いかける姿。
逃げているようでもあり、何かを振り切ろうとしているように前半は見えるが、徐々に自分の状況を見つめ直し、さよならから続く今の道を進みだそうという決意が見えてくる。

これはまさに今の彼らの状況そのもの。
解散からも道は続いていて、またここから始めるという決意。

言葉の選び方もそうだが、後半になるにつれ声を張り上げるように歌い上げる直次郎さんの歌声もこの情景と感情に拍車をかけていることで、その想いは言葉以上に響いてくる。

最初からこんな名曲を聞かせたら次はどうなるのだろうと思ったら、続く「砂の箱舟」ではこれまでの"時"が生み出した傑作とも言うべき名曲を持ってくるのだから、計り知れない。

この楽曲が持っているのは不穏さと危うさだ。

何を信じて良いからわからない現代において、溢れる情報から目を逸らし、知らないふりをしていることが正しいと思っていないか?という言葉にハッとさせられるだろう。

"このままじゃいけない"

自分には何も出来ないと思うのではなく、自分自身に問いかけ、出来ることをしていこう。
そうしなければ、この箱舟は沈んでしまうだろうという警鐘がここには込められている。

この曲を最初に聴いたときは鳥肌が立った。
真理をついたような言葉がずっと耳から離れないだけでなく、その不安を煽るような音構成の深さも大きかった。

アルバムはここから少し落ち着きを見せて、優しい雰囲気を聴かせることになる。

その中には、時を振り返る言葉が多いのだが、懐かしむというよりはそれを糧に進もうとする様が多い。

そして最後は「また会う日まで」のシンプルな言葉で締めくくられる。

そう、新しい平川地一丁目は始まったばかりだ。
いや、再起動したといった方が正しいか。

長らく途切れていた時のレールはここで繋がった。
平川地一丁目はここからまた動き出す。

ちなみに、こちらで「砂の箱舟」のMVが視聴できます。



【補足】
現在はOFFICIAL WEB SHOPでの先行リリースとなります。
一般発売はもう少し先なので、今すぐ聴きたい方はOFFICIAL WEB SHOPからどうぞ。

また、今回のリリースにあたって、平川地一丁目の歴史を振り返る記事(こちら)も書きましたので、よかったら是非。
posted by micarosu at 22:32| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

キセキ その18 〜平川地一丁目〜

すっかりお久しぶり(約3年ぶり)となってしまいました、アーティスト特集企画「キセキ〜僕を作った音楽達〜」。
(企画内容とタイトルの意味はこちら

第18弾となる今回は、"平川地一丁目"を紹介したいと思います。

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posted by micarosu at 16:14| Comment(0) | キセキ 〜僕を作った音楽達〜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする