全ては「吉川美南」との出会いから始まった。
電車の中で出会った女の子"吉川美南"。
これは勝手に付けた名前なのだが、その空想から広がる一つの物語。
電車から降りて行った彼女がどこに行くかも、どこから来たのかも知りはしない。
でもそのひと時があったことを示す"君の名は、ここにあるから"という言葉で楽曲が締めくくられることで、本来なら関係の無い存在がとても尊い存在になるのがなんとも切ない。
どこか淡々と歌っているようで、その奥に秘めた感情の真っ直ぐさもこの曲の尊さを更に増している。
この名曲を知ったことから、このアルバムを聴き始めることになったわけだが、「吉川美南」という楽曲は間々田優さんの魅力の一つでしかないことに気づかされた。
間々田優さんというと"突き刺し系"と表現されるように、歌と言葉が突き刺さるような楽曲の印象はやはり強い。
「赤い月・ウサギ」はまさに叫び。
雁字搦めの世界で生きていることを強く主張する言葉は響く。
「バカヤロー」も叫びだが、"バカヤロー"の言葉を世界に向かって吐き出しているようでもあり、自分に向かって鼓舞するようにも聞こえるように、生きていくことへ反骨心を見せているのが強い。
でも少し弱気になることだってある。
「平成最後」はふと振り返って寂しくなる様子が描かれているが、今とこれからを大事にしようと決意する姿が印象的。
タイトルには最後と付くが、とても前向きな曲だ。
この「平成最後」は、アルバムタイトル「平成後悔」にも繋がる。
タイトルでは"後悔"と言っているが、収録曲を聴くとわかる通り、後ろ向きな印象はあまり無い。
"後悔"自体は後ろ向きな言葉だが、その後悔を糧にこれからの時代を生きていこうとする強さこそがこのアルバムの核。
平成から令和へ。
平成への想いと令和への決意がここに強く刻まれている。
ちなみに、下記リンクからそれぞれの楽曲が視聴できます。
吉川美南
赤い月・ウサギ