2019年09月29日

「マクロスコピック自由論」 アンダーグラフ

今回はアンダーグラフの「マクロスコピック自由論」を紹介します。
「ファンと共にフルアルバム制作プロジェクト」により成立となったアンダーグラフのフルアルバム。

アンダーグラフが持つ引き出し。
その多さには、15年間いつも驚かされてきた。

近年の作品は少し優しさが前面に出ているものが多かったが、今作ではそういう楽曲も垣間見えつつ、デビュー初期のような陰と緊迫感あるような楽曲が多いのが特徴だ。

一曲目の「歳月」などはその最たるもの。

歪むようなギターの音色に、ベース、ドラムが小気味良く入るアンダーグラフらしい布陣。
これが最初から堪能できる時点でアルバムへの期待を一気に高めてくれる。

アルバムの中盤の「一輪の花」、「自由論」、「ナショナ・リズム」の流れなんかも同様の懐かしさを感じる。
アンダーグラフにはこういう楽曲のイメージを持っている人も多いと思うので、この流れを聴くと思わずニヤッとしてしまうだろう。

それとは対極とも言える日常感や優しさが出た楽曲も非常に心地よい。

「体温という言葉」、「見上げたら空より近くに」、「君が笑うために生きてる」。
タイトルを見ただけでも優しさが溢れているのだが、楽曲の雰囲気はもちろんのこと、僕と君の二人が歩みを進めていこうとする姿を描いた詩が何より愛おしい。

そしてもう一つ。
このアルバムの軸となっているのは壮大さだ。

ハンガリーブダペストのオーケストラの壮大なサウンドを入れた「翼‐road to 2020 Infiorata ver.-」や「まだ見ぬ世界を映しながら」のように音としての壮大さという点ももちろんあるのだが、どちからというと詩の壮大さが一つ聴きどころだ。

「翼‐road to 2020 Infiorata ver.-」は地球という星の生まれてから今に至るまでの時の流れから、今を生きる命の煌きを描くという壮大な内容。
名曲「ツバサ」とメロディは同じなのだが、新たに書き起こされた詩が乗ると、ここまでイメージが変わるものかと驚いた。

それに続く「鼓動」もかなり壮大だ。

生きている限りなり続けている鼓動というテーマから、幼い頃の想いや愛、生きていく意味などを哲学的に描いている感じがあり、特定の誰かではなく今を生きる全ての人に共通して響く想いと意味がここにはある。

「翼」ほど大きな話ではないのだが、全ての人に届く言葉を描くというのは壮大だなと思う。

このように日常感から壮大なテーマまで幅広く収録されているこのアルバム。

言い換えると、狭い視野から広い視野まで色んな視点で描れていて、ものの見方を変えれば見え方は変わってくるというのがアルバムの大きなテーマになっていることに気づくだろう。

これこそが「マクロスコピック自由論」。

アンダーグラフが辿り着いた一つの到達点であり、新たな始まりを予感させる名盤だ。

ちなみに、こちらでアルバムのディザーが視聴できます。

posted by micarosu at 22:38| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月23日

Moonlight J-POP 19年7月篇

今回はサブコンで発表した、2019年7月度のマイベスト10を紹介します。
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posted by micarosu at 23:33| Comment(0) | Moonlight J-POP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月22日

「その幕が上がる時」 ピロカルピン

今回はピロカルピンの「その幕が上がる時」を紹介します。
ピロカルピンの9枚目のオリジナルアルバム。

初期のピロカルピンのような雰囲気があるなと思った。

独特の空気感、松木さんの坦々としているようだけど真っ直ぐ響いてくる歌声、主張しすぎないけど存在感のある音。
「人生計画」、「人形の部屋」などはその最たるものだ。

もちろん、今のほうが音の作り方であったり、楽曲の魅せ方などは遥かに洗練されている。

そんな純粋な進化も楽しいのだが、楽曲ごとに見せる顔がかなり個性的で、かつ明確でることでも楽しませてくれる。

まさに幕が上がるような光を感じる「その幕が上がる時」に始まり、水が音圧で弾けるような重厚感ある音で聴かせる「雨の日の衝動」、優しい救済を感じさせる「キューピッド」も心地よい。

特に存在感があるのが最後の2曲。

御伽噺のような浮遊感ある「秘密」で聴かせる夢幻。
サビの4つ打ちのリズムが夢と現実の狭間を埋めてしまうような不思議な軽快感を響かせてくれるのは新鮮だ。

それ以上に最後の「夢十夜」が新鮮だ。

始まりから少し陰のある懐かしいリズムとビートで聴かせてくるので、かなり驚いた。
そして、その空気感から"全部夢だよ"で歌いだされたら、もう惹きこまれないほうがおかしい。

ただ、入り込んでしまったらそこから抜け出すのが難しい。
そのくらい現実を逃避という夢の世界が見えてくるのが寂しくもあり愛しいのだ。

メジャーでの活躍、自主レーベル設立を経ての今回のセルフプロデュース。

ピロカルピンらしさという点において、間違いなく今までで一番濃く出た作品だ。

それでいながら、新鮮な面も覗かせるなど、まだまだ進化は止まりそうにない。

「その幕が上がる時」という名のように、ここから新しいピロカルピンが始まりそうだ。

ちなみに、こちらから「人生計画」が視聴できます。

posted by micarosu at 21:57| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月15日

「僕は僕で僕じゃない」 松室政哉

今回は松室政哉さんの「僕は僕で僕じゃない」を紹介します。
松室政哉さんの2ndシングル。

"僕は僕で僕じゃない"

タイトルでもあり、サビにも出てくるこの言葉には重く強い想いが込められている。

社会に出て流されて生きる日々。
自分らしさも忘れて生きることに感じた不安。

"あの日の僕はもういない"

上手く生きていると思っていても、心の奥底では"そうじゃない"と思っている。
そんな想いが、歌声から伝わってくる。

それが最高潮に達するのが最後のサビで出てくる"僕は僕で僕じゃない"からのフレーズだ。

間奏までの華やかさから一転してピアノの音色だけになるサビへの展開。
そこでこのフレーズを聴かされるわけだから、言葉の意味と想いが溢れるほど響いてくるのは必然。

ただ切ないだけの歌というわけではなく、全体として音の鳴らし方には華やかさやポップさが広がっていて、自分自身の葛藤を越えた先に待つ未来を信じて欲しいという想いが奥にはあるのかもしれない。

それは松室さん自信のことでもあり、聴いてくれている全ての人への想いでもある。
そんな想いが詰まった名曲だ。

ちなみに、こちらで視聴できます。

posted by micarosu at 19:59| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月08日

「寂しい人が一番偉いんだ」 majiko

今回はmajikoさんの「寂しい人が一番偉いんだ」を紹介します。
majikoさんの1stフルアルバム。

濃い作品だ。
内容の充実さという意味で。

全体的には暗めの印象だ。
どこか葛藤を描いている言葉が印象に残るが、想いの根源にあるものは曲によって違う顔を見せる。

「エミリーと15の約束」のような母親との約束から想いを馳せる姿であったり、「ひび割れた世界」のように君への強すぎる少し歪んだような感情であったり、「春、恋桜。」のような純粋な想いを文学的に表現したものもある。

聴かせ方も多様で、民族音楽調で軽快に聞かせるポップな「ワンダーランド」であったり、アコギと二胡の音色で幻想的な哀愁を漂わせた「レイトショー」、ジャジーな音色とグルーブ感で心地良く聴かせる「パラノイア」のような曲もある。

これだけを見ると、単純に幅の広いアルバムという言葉が出てきそうだが、その奥では一つのテーマの芯があって、その中でどれだけ表現をできるかというのをこれでもかと魅せてくれている。

そこが冒頭の濃さの言葉になった大きな理由。

そのテーマといのがタイトルでもある"寂しい人が一番偉いんだ"なのだが、実は最後の最後の曲でこのテーマの一歩先へ進もうとしているのがこのアルバムの最大の聴きどころ。

その曲は「WISH」。

曲の始まりから惹きこむ繊細な透明感。

君を思う優しい言葉。

そして、サビで透明感が一気に弾けるように広がる展開。

そのサビにある君と二人で歩いていきたという願いが、真っ直ぐな言葉と歌声で響いてくる。

この楽曲が最後にあることで、全てが報われるような救いと、アルバムとしての最高の余韻が待っているのだ。

「寂しい人が一番偉いんだ」という名の名盤。
最初から最後まで聴いてみて欲しい。

ちなみに、こちらからアルバムのクロスフェードが視聴できます。

posted by micarosu at 22:35| Comment(0) | おすすめCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする