空想委員会のメジャー3rd EP。
音楽×アニメ。
今回三浦さんが原作を担当した短編アニメーション「何色の何」。
その挿入歌を収録したのが今作だ。
楽曲の話をする前に、アニメのほうの話をしてみよう。
絵描きの"かなた"と、その絵を好きだと言ってくれた"遥"。
互いに好きな気持ちを持っていたものの、その方向が少しずつずれていき、最後には離れていってしまう。
その物語を支えつつ、色を与えてくれるのが空想委員会の音楽だ。
原作も楽曲も作成しているだけのことはあり、その親和性の高さは圧倒的。
この流れでこういう音楽が来て欲しいというところを的確についていのが印象的だった。
ここで改めてEP作品の「何色の何」を聴いてみると、不思議なことにアニメで観た情景が鮮明に映し出されてくる。
先にアニメを観たからということも少なからず影響はしているものの、実のところそれ以上の情景が浮かんでくる感じだ。
「宛先不明と再配達」はその最たるもので、柔らかなギターの音色から始まり、一つ一つの言葉を丁寧にメロディに乗せていく。
その言葉には"ありがとう"と"ごめんなさい"が混在していて、ずっと迷い、さ迷いながら生きているのだけど、それらを含めて君に想いを届けたいという真っ直ぐな気持ちへ行き着くのが心地良く響く。
同じく挿入歌である「マイヒーロー」は、少しだけ内向きの感情が前に出ている。
君の存在が強く輝いていることで、自分が相対的に弱い存在であるように思い込んでしまっている。
それでもその輝きに魅せられて、少しずつ強く生きていこうとする姿を描いていて、優しいメロディと歌声が全てを包み込んでくれるのを聴くと、どうしてもグッときてしまう。
挿入歌として使われているのはこの2曲だけなのだが、残りの2曲も物語を彩っている。
「ベクトル」は二人の日々の断片と感情の揺れ動きが表現された、ドラマ性と疾走感を持った格好良い楽曲。
明確にその言葉は出てきてはいないが、アニメ本編で何度も出てくる「何色の何?」という言葉が二人を繋ぐために必要なものだったことが滲むように伝わってくる。
「エール」は"遥"の気持ちを体現したような楽曲。
一番近くにいるからこそわかる負の感情に対して、何かをしてあげたいという真っ直ぐな想いと、本当に届いているのか不安になる想いが溶け合わずに渦を巻いている。
それでも絶対届くはずだと純粋に前を向こうとする姿には、格好良さと強さを感じさせてくれる。
曲順で言えばこの後に「マイヒーロー」が続くので、このマイヒーローというのは"かなた"に対する"遥"のことだとわかる。
こういう気付きが生まれるのは、アニメと音楽の融合という中で、最高の形ではないだろうか。
音楽を届けるために生まれたアニメが、音楽を更に彩っていく。
空想委員会が仕掛けたこのプロジェクトの素晴らしさを是非感じてみて欲しい。
ちなみに、こちらから短編アニメーション「何色の何」が視聴できます。