荒井岳史さんの3rdフルアルバム。
どことなく漂う懐かしい空気。
それもそのはず。
荒井さんのルーツでもある80年代のポップを前面に押し出した作品になっているからだ。
初めの「リメンバー・ミー」からそれは全開で、夏の暑さを吹き飛ばすようなドライブ感からは爽やかさはもちろんのこと、懐かしさも一緒に感じることが出来る。
全体を通してポップではあるものの、形はこのようなストレートなものだけでなく、「ミステリアス・ガール」のようなシンセを使用したディスコナンバーであったり、「Woder Magic」のゴダイゴを彷彿とさせるような独特なリズム感、「夢から醒めない」のグルーブ感と様々な形で懐かしいポップを聴かせてくれる。
でもやはり、「希望」のストレートな楽曲の秀逸さが光る。
爽やかな音色に疾走感。
これだけでも素晴らしいのだが、そこにメロディの進行とグルーブ感が加わることで、もはや夢見心地と言って良いくらいの心地良さを与えてくれる。
こういう楽曲がしっかり芯にあるからこそ、違うタイプのポップさも違和感なく聴くことができ、結果としてアルバム全体としても非常に完成度と満足度の高い作品に仕上がっている。
純粋にポップで純粋に良い音楽。
the band apartではなく、ソロ荒井岳史さんだからできる音楽の一つの最高傑作と言うべき素晴らしき名盤。