佐藤嘉風さんの8枚目のフルアルバム。
♪もう一度 もう一度 もう一度 光を探して
「オレンジ色の夕焼け」のサビのこのフレーズを聴いたとき、すごい熱量を感じた。
佐藤嘉風はこれまでも繊細で優しいメロディと歌声を紡いできていたが、今作は今までに無い何かがあるかもしれない。
そう思いながら聴き進めてみたら、本当にその通りだった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「オレンジ色の夕焼け」はその代表格で、繊細で優しい印象はそのままに、心地良い音の広がりを耳に馴染ませながら、想いの乗った歌声が心を揺さぶってくる。
もちろんそういった楽曲だけでも十分すぎるほど良い。
でも例えば、「CRAZY WORLD」のようにイントロのドラムの独特のテンポと巧みなサウンド構成で揺さぶりながら、サビの跳ねるような疾走感への流れで聴き手の心をギュッと掴むような楽曲があったり、「Listen To Me」のように軽やかな口笛が入るような軽快なカントリー調の楽曲があったり、単純な繊細さや優しさでは語りきれない様々な色を楽曲ごとに感じることが出来る。
ソロでの活動10年の集大成とも言える充実した内容と言いたいところだが、ふと冒頭にも書いた「オレンジ色の夕焼け」のフレーズが浮かんだ。
これはもしかたら集大成というより、また新たに一歩を進み始めようとしているような新鮮な気持ちが詰まっていると言ったほうが良いかもしれない。
ソロ活動を始めた当初の「SUGAR」や「流々淡々」のような素朴さも垣間見えつつ、ポップスとして楽しく聴くことも出来る、新たな始まりを告げる一枚。
佐藤嘉風さんが紡いだ音楽を楽しんでみてほしい。
ちなみに、こちらで「オレンジ色の夕焼け」が視聴できます。