今回は
坂本真綾さんの「
FOLLOW ME UP」を紹介します。
坂本真綾さんの9枚目のオリジナルアルバム。オリジナルアルバムとしては前作「シンガーソングライター」から2年半ぶり。
その間にリリースされたシングルが多数入っているため、既出曲の内容だけでも濃いことがわかる。
しかもそれらがどれも素晴らしい楽曲であると同時に個性が強い楽曲でもあり、聴き進めるとあっちへこっちへ行ったりと忙しい印象は確かにある。
だがよく聴くと、その印象の変化は1曲ごとではなく、3曲毎に訪れていることに気づく。
1〜3曲目は新鮮さ。
「FOLLOW ME」の独特な展開、「Be mine!」の圧倒的な疾走感がとにかく素晴らしい。
「さなぎ」も北川勝利さん作曲と感じないほどメロディで、間奏の唸るようなギターの音色も含めてとにかく新鮮さを感じさせてくれる。
4〜6曲目は重厚な世界観。
最後まで息をつかせないほど洗練された音を聴かせてくれる「SAVED.」、小山田圭吾さん(Cornelius)作曲の「東京寒い」は独特な世界観に、「アルコ」の菅野よう子さんらしいメロディと音世界と歌声の融合には、どことなく安心感も覚える。
7〜9曲目は優しさ。
「幸せについて私が知っている5つの方法」のキラキラした幸福感、「はじまりの海」の香りや空気感まで含んだ情景が浮かぶような音楽に、本人作詞作曲の「これから」の未来を不安に思いながらも、その未来へ向かって歩んでいこうとす姿に、自然と感情が揺さぶられる。
10〜12曲目は優雅さ。
「Waiting for the rain」の浮遊感と広がりのある音楽に、「ロードムービー」の繊細なメロディだけど詩の内容を表すように力強く聴かせるアレンジの妙、「That is To Say」のジャジーな音楽はいつまでも聴いていたい思わせてくれる。
13〜15曲は哲学的な深さ。
「レプリカ」の煌びやかなした疾走感に乗せた見えない愛や絆の存在の尊さ、さかいゆうさん作曲の「かすかなメロディ」は歌詞もメロディもシンプルでありながら、心の奥深くに響く力があり、「アイリス」で描く様々な景色はこのアルバムを象徴しているようで、バラバラに見えながらも全てには意味があるということがしみじみと伝わる。
シングル曲に関わらず全曲が濃い内容。
バラバラに見える楽曲も、それぞれが意味を成し、アルバムという形の中で新たな価値を生み出すように構成されている点も面白い。
その濃さと同時に新鮮さを感じることになる一枚のアルバム。
ちなみに、
アルバムの特設ページから一部視聴できます。



posted by micarosu at 22:07|
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