クラムボンの5年ぶりとなるオリジナルアルバム。
感情があふれ出してくる。
クラムボンのアルバムでそれをここまで感じさせてくれたのは初めてかもしれない。
今までのクラムボンは空気感で世界を伝えることが多かったように思うが、今回は明快なメロディに耳に残る言葉が融合され、直感的に世界観を感じさせてくれる。
特に鳥肌が立つほどに素晴らしかったのが「yet」。
不穏なピアノの音色から始まり、広がっていく世界。
攻撃的なベースライン、力強いドラムとピアノの音色が前へ前へと引っ張りながら、郁子さんの歌声に乗る言葉が優しく後押ししてくれる。
これだけ明確な芯を見せながらも、複雑な展開で酔いしれさせてくれるあたりは流石のクラムボン。
またこの曲は、先行シングルとして聴いたときから素晴らしいと思っていたが、アルバムの中で「Scene 3」、「はなさくいろは」、「バタフライ」という流れの後で聴かせることで、楽曲が持つ潜在能力が開放されたように色を放つ点も魅力。
この3曲がそれぞれタイプが違い、聴き手の感情を揺さぶってきたところで「yet」を聴かされるわけだから、虜になるないはずがない。
もちろんこれらの楽曲だけでなく、アルバム全体にあらゆる感情が散りばめられていて、最後には不思議と心が満たされるような一枚。
クラムボンが新境地に本気で挑んだ傑作だ。
ちなみに、こちらで「yet」が視聴できます。