有馬元気さんのメジャー1stフルアルバム。
インディーズ時代から聴いて来ていたが、進化と成長の速度に本当に毎回驚かされる。
今のメジャーでここまで良質なメロディと言葉を紡いた歌はなかなか無いと思う。
中でも特に存在感があったのは、MVも公開されているリード曲の2曲。
まずは1曲目の「挫折」。
イントロのダークなバンドサウンドを聴かせ、メロまではかなり後ろ向きな言葉を畳みかける。
このまま暗い雰囲気を漂わせていくのかと思っていたら、サビに向かうにつれて希望を見せるように言葉とサウンドが開けていき、「挫折」という言葉のままでは終わらせない反骨心が徐々に見えてくる。
最後の"負けないから"はその集大成とも言える言葉で、凄まじいエネルギーを持ってアルバムを開幕させる。
そしてもう1曲が、アルバム最後を飾る「憧れをずっと追いかけた」。
歌い始めから魅せる美しいメロディと歌声。
描かれているのは、憧れを追いかけ続ける強さと、それを続けることの難しさと葛藤の姿。
それらを織り交ぜながら、"叶ってないから夢見れる"という君からの信じる声を受けて迷わずに歩いてく決意を見せる、優しく真っ直ぐで温かい歌になっている。
「挫折」に始まり、「憧れをずっと追いかけた」に繋がる物語がこの「宿命」の一つの芯。
その道筋には、ポップで微笑ましい「ワガママ」があったり、「愛なんです」のような悩みを弾け飛ばすようなポジティブさを見せたかと思えば、「1/2」のような想いのすれ違いによる別れのドラマや、生きることに半信半疑になる「この世界に」など、時に悲しく時に明るく、様々な感情を聴かせてくれる。
もうこれ以上無いくらい魅力が詰め込まれている感じで、これを良いと言わない理由が見当たらない。
間違いなく名盤だ。
【視聴】
挫折
黙ったまま
憧れをずっと追いかけた