約2年半ぶりとなる8thアルバム。
「七色眼鏡のヒミツ」以降、外部のアレンジャーがどれかの曲に入っていることが多かったが、今作は久々の完全セルフプロデュース。
それもあって、nano.RIPEらしさと原点回帰な雰囲気が全体から漂う。
始まりの「トロイメライ」はそれは全開で、これぞnano.RIPEというサウンドと疾走感、そして耳に馴染むメロディ。
そこに少しエッジを効かせた「星に届くよ」、感情を高ぶらせるサウンドと進行で惹き込む「クライマックス」と、最初の3曲だけで間違いない。
「光のない街」や「マジックアワー」といったタイアップ曲はもちろんだが、アルバム曲の存在感も聴き逃せない。
中でも「初期衝動」の存在感である。
メロの混沌とした陰を持った雰囲気から、サビで広がりを見せる王道への展開。
そして、間奏のギターやベースの粒立った音色。
まさにタイトル通り"初期衝動"で思うままに紡がれたという印象を受けるのだが、メロディラインにはnano.RIPEらしさがあり、一段深化をした新鮮な楽曲という感じだ。
この次の「錯月」もテクニカルな音色を聴かせてくれる楽曲で、アルバムの真ん中で効果的なスパイスが入るのが非常に良い。
良い意味で変わらない一面と、変わらず進化を続ける一面。
その両方を融合しつつ、初期衝動的な熱量を加えた新たな名盤。
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「光を運ぶもの」 全曲視聴動画
